幹事クリタのコーカイ日誌2013

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8月28日 ● それは言わない約束なの?

 松江市の教育委員会が「はだしのゲン」の閉架要請を撤回しました。あれだけ全国マスコミで取り上げられて非難を浴びればそうせざるを得ないでしょうが、随分と大騒ぎになってビックリしたことだろうと思います。

 今回の「はだしのゲン」問題、子どもに見せるには過激な描写があるからというのが理由になっていて、それが日本軍の兵士が首をはねていたりする残虐行為のシーンだとされています。それに対して「子どもは自分で判断できる」だの「原爆の被爆シーンの方が残酷だ」だのいろいろ意見が出ていますが、正直言って何を的外れの議論しているのかと不思議に思えて仕方ありません。

 「はだしのゲン」の第1部は少年ジャンプに連載されていました。小学生だった僕は連載当時リアルタイムで読んでいて「気味の悪いマンガだな」と思いながらも、その描写の迫力に引きこまれて読んでいました。覚えているのは被爆した人たちがドロドロに溶けていくように死んでいくシーンばかりです。原爆の悲惨な状況を克明にリアルに描いていて、本当に原爆はひどいと思いました。

 第1部が終わってその後は見かけなくなったのですが、実際は掲載誌を次々と変えながら連載が続いていたそうで、左派系のオピニオン雑誌、共産党の機関紙、さらには日教組の機関紙などで連載されていたことは、今回の騒ぎではじめて知りました。第2部が左翼的な傾向にあるのも、また学校の現場で「はだしのゲン」だけが読んでも良いマンガになっていたのも、要は日教組のお墨付きがあったからこそです。

 「はだしのゲン」の問題は、単なる絵の描写にあるのではなく、第2部で天皇の戦争責任を論じたり、本当に日本軍が残虐行為を行ったかどうかわからないのに、一方的に日本軍を悪者に描いたりした「左翼的」な部分にあることです。要は韓国や中国が言う「歴史認識」の問題と同じです。「はだしのゲン」(の第2部)は明らかに今の感覚で言えば「反日的」マンガであり、だからこそ松江市の教育委員会も子どもに読ませるのを制限したのでしょう。

 南京大虐殺も従軍慰安婦も捏造ではないかと言われ、政治的問題にもなっているこのご時世に、中国や韓国の「歴史認識」を追認するような「はだしのゲン」を小学生に読ませるのは相応しくないのではないか、少なくとも理解できる年齢になったら先生や親と一緒に読んだ方が良いのではないかという松江市教育委員会の考えはもっともだと僕は思います。きちんと調べて考えて、その上で左翼的な歴史認識に同調するのは自由です。しかし、何もわからない子どもに、こうした微妙な政治問題をマンガというツールで刷り込むのは教育的にどうなんでしょう?

 そのことに言及せずに、単に「絵の描写の残虐性」についてのみ論議をしているのはなぜなのか、僕には不思議でなりません。それともマスコミの間ではわかっていても「それは言わない約束」なのでしょうか?



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