幹事クリタのコーカイ日誌2013

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7月9日 ● マレーの歴史的勝利。

 アンディ・マレーがついにウィンブルドンで優勝を遂げました。これはまさに歴史的な勝利です。77年ぶりの英国人によるウィンブルドン男子シングルスの優勝。「ウィンブルドン現象」という言葉さえ生んだ空白をようやく埋めることができたのですから、さぞやイギリスは興奮と歓喜に包まれたことでしょう。

 ここまでくるのに本当にマレーは厳しい道のりを歩んできたと思います。テニス界4強の一人とは言え、これまでは明らかに4番目。フェデラー、ナダルというレジェンドが立ちふさがり、さらに同い年のジョコビッチが先を歩んでいました。この3人を超えるだけでも大変なことなのに、さらにマレーにはホームならではの重い期待がプレッシャーとなってのしかかりました。

 マレーの前にウィンブルドン制覇を期待されたティム・ヘンマンはベスト4がやっとでした。マレーは昨年ついにヘンマンを超えて決勝にたどり着きましたが、フェデラーに屈して涙を流しました。昨年のマレーのインタビューは本当に全世界の同情を誘うにふさわしいものでした。

 しかしすぐ後に同じウィンブルドンで行われたロンドン五輪でフェデラーを破って金メダルを獲得、さらに続く全米オープンでジョコビッチを下して初のグランドスラムタイトルを獲得と、マレーには風が吹いていました。全豪はジョコビッチに決勝で負けはしましたが、全仏をスキップしてウィンブルドンに賭けた作戦が見事に吉と出ました。

 マレーの優勝には運もありました。ボトムハーフはナダル、フェデラーをはじめ有力選手が次々と早期敗退し、マレーの決勝までの道のりは平坦そのもの。多くの難敵を退けてきたジョコビッチは体力も気力も削がれていったことでしょう。決勝が結果だけ見ればストレートでタイブレもなしというあっさりとしたスコアに終わったのも、最後の一歩でジョコビッチが精度を欠いたせいですし、それはそこまでの道のりの差ではないかと思います。

 マレーの優勝でクローズアップされたのがコーチのイワン・レンドル。かつて最強選手でありながらウィンブルドンだけはどうしても優勝できず、全てのグランドスラムタイトルと引き換えにしてでもウィンブルドンの優勝が欲しいとまで言った、あのレンドルです。マレーの優勝には英国国民の期待だけではなく、レンドルの執念も上乗せされて達成されたもの。それだけ重い勝利です。

 これで男子テニスの「4強」の構図がガラッと変わってきたようです。マレーがジョコビッチとともにトップ2になり、これまで彼らの壁であったフェデラーとナダルは逆に追う立場になりました。ナダルは膝の具合が気になりますし、フェデラーは大会後ランキングも5位まで落としましたから、今後のグランドスラム大会ではかなり苦しいドローになることは間違いありません。錦織ら若い世代も今や本気でその首を狙ってくることでしょう。これはこれで面白い構図になったと思います。



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