幹事クリタのコーカイ日誌2013

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6月22日 ● 生徒に逃げられないために。

 テニススクールと音楽スクール。両方通っていると共通点がいくつも見受けられます。スポーツと芸術という分野の違いはあれ、「お稽古ごと」という点ではそっくりだと思います。当然、成功するスクールかどうかも共通点があります。

 まず我々のような楽しみでやる大人相手と、将来あるジュニア相手では真剣さが違います。大人は真剣にやっていても所詮は趣味です。遊びです。だからインストラクターもいかに生徒が楽しく続けていけるかを常に考えて導いていくことが大事になります。

 しかしジュニアは違います。将来プロになり、もしかしたら一流になるかも知れないダイヤの原石です。だからきちんと基本から叩き込まなければなりませんし、変な癖をつけてもいけません。真っ直ぐに大きく高く伸びるように育てることが必要です。親も真剣です。しかし、やりすぎて嫌いにさせてはいけません。責任は重い代わりに、将来への楽しみも大きいことでしょう。

 大人でも昔やっていて、時間に余裕ができたからまた始めてみたという人と、全く初心者とでは全然違います。経験者は基本ができていて教えやすい反面、癖がついてしまっているので矯正するには時間がかかるし、本当に矯正しなければならない癖なのかどうかも見極めなくてなりません。あまりジュニア相手のように厳格にやるとなまじ経験者だけに反発を買いかねません。しかもインストラクターの方が大抵の場合ずっと年下ですから余計にやりにくくなります。

 逆に初心者の場合は最初は素直に言うことを聞きますが、大人になるとセンスのあるなしや練習環境などで進歩のスピードにかなり差が出ます。ところが生徒は他の生徒と比較して自分が上達しないのは教え方が悪いのではないかと疑い、他のスクールに変わろうかなどと考えます。このあたりは上手にコントロールして満足感を与えてやらないといけません。

 僕はスクールでは教える側ではなく教わる側ですが、これはコインの裏表の関係ですから、長年教わっていればいろいろと教える側のポイントも見えてきます。一番大事なのは「人間力」で、いかに生徒と良好な関係を築けるか、信頼関係を結べるかにかかっています。そしてもうひとつ大事なのは圧倒的な技術を見せつけることです。教わる側からしたら下手な人に教わりたいとは思いません。自分より圧倒的に上だと思えば言うことが少々理不尽でも全面的に受け入れますが、技量に不信感を抱けば途端に言うことを聞く態度ではなくなります。

 人間力と技術を身につけないと、どうしても生徒に言うことを聞かせるには上から高圧的な態度で臨むか、逆にヘラヘラと迎合することになりますが、それでは生徒の技量は向上しません。学校ならそれでも生徒は逃げようがないから良いかも知れませんが、スクールではさっさと生徒が離れていってしまいます。まあ生徒が逃げられないからこそ、学校の先生の方が責任重大で大変なんですけどね。



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