幹事クリタのコーカイ日誌2012

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12月25日 ● 『平清盛』完結。

 NHK大河ドラマ『平清盛』が全50回を終わりました。低視聴率の話題ばかりが一般に報道されていましたが、内容は濃く充実したドラマで、近年の大河ドラマの中でも出色の出来映えだったと思います。

 低視聴率に喘いだ原因はいくつもあるのでしょう。例えば視聴率が取れそうな民放ドラマで人気のアイドル的俳優を一部を除いてほとんど使わず、あくまでも役のイメージ優先で知名度は低くても演技力のある役者を起用したこと。一般に馴染みの薄い平安末期の時代設定なのに、あえてわかりやすさをある程度犠牲にしても時代考証を極力優先したこと。主人公の清盛を含めて登場人物を単なる「いい人」として描こうとせず、ダークサイドも描いたことなどが考えられます。

 これらはあまり大河ドラマや見ない人や、歴史に興味が薄い人にしてみれば「わかりにくい」「とっつきにくい」「暗い」という印象を与えたことでしょう。特に前半の朝廷を中心としたドロドロした物語は、多くの善男善女に拒絶反応を与えてしまったのかもと思います。

 しかし、これらの「短所」全てが『平清盛』というドラマを面白くした「長所」でもありました。イメージが固定していない役者を起用したからこそ、平家盛も平重盛も崇徳帝も強い印象を残しました。平家物語をベースにしながら独自の解釈も盛り込んだ脚本も、わかりにくくても強い引力がありました。清盛を始め白河帝、後白河帝、藤原摂関家などが、みなそれぞれ身勝手な悪人であればこそ、より魅力的で存在感のあるキャラクターになりました。

 低視聴率ではあっても、ずっと見続けた視聴者にとっては多分かなり手応えのある満足度の高い大河ドラマだったと思います。だから今回の低視聴率をNHKは反省しないで欲しいと願っています。反省して数字の取れる、明るく元気でわかりやすいドラマにしてしまうと、またいつぞやの「スイーツ大河」に逆戻りしてしまいますから。



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