幹事クリタのコーカイ日誌2012

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9月3日 ● 「知力の甲子園」に優秀な解説者を。

 先日夏休み恒例の特番「全国高等学校クイズ選手権」(高校生クイズ)をやっていました。今年で32回目。僕の母校も愛知代表として出ていたし、まあ出ていなくてもクイズ好きなので当然録画して見たのですが、ちょっと不満に感じたのはクイズをやりっぱなしで何のフォローもないこと。きちんとクイズの説明もないし、ガヤで出ているタレントたちもただ感心するばかり。茂木健一郎も偉そうに喋っている割には内容がないし全然面白くありません。

 この「高校生クイズ」は、かつては「アメリカ横断ウルトラクイズ」の高校生版として、クイズの実力だけではなく体力や運も勝ち負けを左右するバラエティ色の強い内容でした。ところが数年前から完全に「知力の甲子園」として純粋に学力勝負に方向転換。高校生が難解なクイズ問題を見事に答えていくところを見せ場にしています。

 まあ賛否両論あるでしょうが、それはそれで構いません。ただ、だったらそのクイズのレベルの高さが視聴者にもわかるようにきちんとエンターテイメントに仕上げて欲しいのに、「すごーい」しか言わないレベルの低いタレントばかりを並べて視聴者以下の目線で煽っているだけでは物足りません。同じように問題のレベルが高いと言ってもいろいろあります。クイズマニアなら知っているようなコアな知識なのか、それともきちんと学校の勉強をしていればわかる問題なのか、もしくはかなり閃きが必要なクイズなのか。メッシのレベルか清武のレベルかは「すごーい」だけではわかりません。

 僕が見ていた限りではかなり難しい問題と、そこそこわかる問題が混在していたのですが、タレントたちはどちらも「難しい」「知らない」で済ませてしまうので、その差が全然伝わってこないのです。例えば「日本人以外のノーベル文学賞受賞者をできる限り書け」と問われて40人も答えた開成高校は、「エベレスト以外の8000メートル級の山を書け」でも残る13座を全て答えました。しかしこれはノーベル文学賞を40人答える凄さに比べればそれほど大したことではありません。でも矢口真理やゴリはどちらも「ひとつも知らない」なんて感心するばかりで終わってしまいます。

 また文系問題のレベルの高さに比べて、理系問題のレベルの低さが全然釣り合っていないのもおかしなところで、鉛直投げ上げとか浮力の問題なんて計算さえ間違えなければちょっと進んだ中学生でもできるんじゃないかと思いますが、これまたタレントたちが「全然わからない」なんて言うものだから、見ているこちらが白けてしまいます。

 早押しなら押すタイミングのテクニックがあるし、計算が必要な問題でもどういう計算式を立てると良いのか、どこで間違えやすい落とし穴があるのか、そういう解説もして欲しいと思います。要は野球やサッカーの解説者のように、勝負のポイントや、問題のレベルをわかりやすく説明する人がいないと、せっかく高度なクイズの応酬をしていても「すごーい」で終わってしまいます。

 番組では時々専門家のような人が出てきてはいましたが、それも「これは普通の高校生では到底できるレベルではありません」などと言うばかり。そんなわかりきったことは言わなくても良いのです。出ているのは普通の高校生ではないのですから。藤浪や大谷のピッチングを「普通の高校生ではこんな速いボールは投げられません」と言っているのと同じです。高校野球の解説者がそんなことを言ったら物笑いです。

 そうじゃなくて、どうやってこの問題を考えれば良いのか、また間違えた高校はどこでミスをしたのか、そのミスは単純なミスか決定的な間違いがあったのか、そういうことをわかりやすく楽しく説明して欲しいと思ったのに、それはほとんどありませんでした。ただ正解できたかどうか結果だけを見せるクイズ番組なんて意味がありません。難問ほど丁寧でわかりやすい解説が必要だということを番組制作者はわかっていないのか、それとも視聴者はどうせわからないからムダだとバカにしているのか、果たしてどちらなんでしょう。視聴者置いてけぼりの番組なのに、どうして視聴率が取れるのか不思議で仕方ありません。



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