幹事クリタのコーカイ日誌2012

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8月21日 ● 甲子園の奪三振男。

 いま熱戦が繰り広げられている夏の甲子園大会で、桐光学園の松井裕樹投手が68奪三振という歴代3位の数字をマークしました。歴代1位は第40回大会の徳島商・板東英二の83、2位は第88回大会の早実・斎藤佑樹の78。ただ上位2人は決勝まで進みしかも延長再試合などがあっての数字。わずか4試合36イニングでこれだけの数字をマークした松井は板東が語ったように「すばぬけている」と思います。

 これを9回当たりの奪三振数で見る奪三振率になおすと、松井は17.00で、板東の12.05、斎藤の10.17を大きく凌ぎます。奪三振数で4位の大阪桐蔭・辻内崇伸が14.04ですから、松井の数字は驚異的です。もちろん登板機会が少ないほど全力で投げられるので三振は奪いやすいという部分もあります。延長戦や再試合になった板東や斎藤の奪三振率が疲労によって下がるのも当然のことなので一概に比べることはできません。準決勝、決勝になれば力のあるチームと対戦するので三振も奪いにくいでしょう。それでも松井の三振を奪う力量が長い甲子園の歴史の中でも際立っていることは確かです。

 ただ投手の力量は三振を奪うことだけではありません。一番大事なことは勝つことであり、そのためには点を取られないこと。奪三振率よりも勝利数や防御率の方が評価されるのは当然です。もちろん勝利数はチームの総合力の問題もあります。打てなければ勝てないのはもちろん、守備がザルでもダメなので、純粋に投手の力で上げられる数字が奪三振率だということは言えます。それに打者の華がホームランなら投手の華は三振です。バッタバッタと三振に切って取る投手はそれだけでスター性がありますから魅力的です。松井が騒がれるのも無理はありません。 しかも松井はまだ2年生。来年にはどれほどの投手に成長して甲子園に戻ってくるか実に楽しみです。

 ちなみに僕が見てきた限りで高校野球トップの投手と言えば作新学院の江川卓をおいて他にありません。桑田真澄も松坂大輔もダルビッシュ有も田中将大も江川には到底及びません。彼の凄さはその記録にも残っていますが、何より子どもの中に大人が混じっているような絶対的な存在感が印象的な「記憶」にも残る選手でした。チームが弱かったので0対0の延長戦を意識して、三振だっていつでも取れるのにわざと打たせて省エネ投球をしていたようですが、高校生相手に本気で記録を狙って全部三振を取りにいったらどれだけいったのかと思います。実際、春の甲子園の奪三振記録は江川の60ですし。

 そう言えば江川はオールスター戦でも8連続奪三振を記録しながら9人目の大石にカーブを投げて内野ゴロに打ち取ったりしていました。あれだけ絶対的な力を持ちながら、あんな人を食ったような投球をする選手はさすがに今後も現れないかも知れません。



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