幹事クリタのコーカイ日誌2012

[ 前日翌日最新今月 ]


 
7月22日 ● 専門家に文句を言う素人。

 僕は仕事柄、いろいろな専門家の話を聞く機会があります。スポーツ選手や芸能人のような有名人だけではなく、学者だったり経営者だったり技術者だったりすることも多いですが、いずれにしてもプロとか専門家とか言われる人の話は大抵含蓄があり興味深いものです。

 もちろんプロと言っても、超一流もいれば一流も二流もいます。レベルの差はあれども、その世界で10年以上食べている人なら、やはり素人とは全然違います。プロ野球で超一流のイチローやダルビッシュとかではなく、一軍と二軍を行ったりきたりしているレベルの選手でも、アマチュアから見たらやっぱり雲の上の人なのです。

 大事なことはその世界に長くいて、その長い時間をかけてずっとその世界のことを考えている「深さ」です。長く深く考えている人に対して、おいそれと素人がパッと思いついた意見なんかできないし、もちろんその長い時間をかけて磨き上げたプロの技術にも到底かないません。たまに素人のよくわかっていない考えがプロの死角を突くこともあるかも知れません。しかしそれはあくまでも「まぐれ当たり」です。素人が意見を言える部分は専門領域ではなく、あくまでもその周辺です。

 僕は広告制作の世界で30年近く仕事しています。一流とはとても言い難い二流コピーライターですが、それでも素人に比べればずっと広告について詳しいし深く考えてもいます。ただ広告の世界と言うのはクライアントが一番偉いので、広告の専門家に対して素人のクライアントがあれこれ口を挟んできます。もちろん、お金を出しているクライアントが意見を言うのは当然の権利ですし、クライアントが納得できるものを作るのが我々の仕事です。なるべく満足してもらえるものを作りたいと思っていますし、クライアントにもきちんと勉強をして我々でも驚くような見識のある人もいます。でも我々専門家の意見を聞かず、やめた方が良いと思うような改悪をしたがるクライアントは本当に多いのです。

 これを読んでいる社会人の方も、それぞれ自分の分野で似たような経験をされているんのではないでしょうか?わかってもいない癖にどうしてプロの仕事に文句を言えるんだよ、って。時には参考になることもありますが、専門分野になればなるほど、ほとんどは素人の的外れなクレームです。いま原子力や電力の専門家も同じような思いをしている人がたくさんいるだろうと想像できます。きちんと勉強をした真っ当な批判ならともかく、誤った認識による過剰な誹謗に嫌気がさしている専門家も多いでしょう。ただ、未だ未曾有の国難の時ですから、どうかここは踏ん張っていただければと思います。



twitterでもつぶやいています@kanjikurita

gooブログでも読めます「幹事クリタのコーカイブログ」