幹事クリタのコーカイ日誌2012

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7月11日 ● 『東野圭吾ミステリーズ』第1回。

 フジテレビの木曜劇場『東野圭吾ミステリーズ』は夏ドラマの注目作です。人気作家東野圭吾の作品は映像化されると、ほとんどがヒットします。過去に『秘密』『白夜行』『ガリレオ』『流星の絆』『新参者』など、多くの作品がヒットしてきました。それだけ作品の骨格がしっかりしているということなのでしょう。雰囲気で読ませる小説ではそうはいきません。

 しかも今回の『東野圭吾ミステリーズ』では短編をオムニバスで毎回見せていくということで、毎週豪華なキャストが実現します。主演だけを並べても初回の唐沢寿明に始まり、坂口憲二、松下奈緒、観月ありさ、反町隆史、長澤まさみ、戸田恵梨香、三浦春馬、広末涼子、篠原涼子、鈴木京香。それに加え中井貴一が導入パートでレギュラー出演します。これほどのキャストが揃ったのも「東野ブランド」のパワーなのでしょう。

 さて、その注目の初回は「さよならコーチ」。唐沢寿明がアーチェリーのコーチ、選手が田中麗奈。トリックを暴く刑事に西岡徳馬。西岡がどう唐沢を追い詰めていくかがポイントだったのですが、うーん、どうもしっくりきていません。テンポの悪い演出と、リアリティのない脚本。やたらとミステリーっぽく暗い絵で作っていますが、全体に古臭い感じがしてしまいます。どうなんだろう、これ、と思いながら結局最後まで見て、ガッカリしました。犯人の独白でほとんどの謎解きが進むって、ミステリーとしてはダメでしょう。

 これは原作が悪いのか、映像化したスタッフが悪いのか?僕は初回だからと言っていつものごとく枠を延長したのがいけないのではないかと思います。簡単なトリックなんですから、ぎゅっと詰めれば良いのに、延長した枠に合わせてクドクドした脚本になり、そのためにテンポの悪い演出になったんだと思います。丁寧な演出という良い見方ができるシーンもありましたが、とにかくドラマ化の初回作品としては失敗だと思います。

 視聴率も11.3%(関東地区)と微妙な数字だったらしいのですが、前クールの『カエルの王女さま』と大差ない数字では、これだけ気合が入った原作とキャストとしては低いと言わざるを得ません。もちろんオムニバスドラマなので、初回だけ見て決めるのは早計だと思います。脚本家が変わればガラッと趣も変わるかも知れません。ただ初回を失敗するとどうしても数字が下がるのが連続ドラマの常。このままでは一桁も目の前です。

 もちろん視聴率が全てではありません。数字は取れなくても面白いドラマ、質の高いドラマはあります。ただ今回に限っては東野ブランドに頼り過ぎたのではないかと思いました。そもそもロンドン五輪直前にオリンピックにあやかった企画のドラマを登場させたのに、こんな後味の悪い作品ってないでしょう。2回目以降も見るつもりなので、ぜひ挽回してもらいたいと願っています。



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