朝日新聞が巨人の新人選手に対する契約金について大バッシングキャンペーンを張っています。球界で申し合わせた1億円プラス出来高払い5千万円という新人契約金の「最高標準額」を超える契約を多数の選手としていたということで、2000年の阿部が10億円、2004年野間口7億円、1997年高橋6億5千万円、1998年上原と二岡が各5億円、2003年内海2億5千万円だそうです。ほーっと溜息が出そうなくらいの高額な契約金です。よくもまあプロ野球で一球も投げても打ってもいない選手にそれだけ払うなぁというのが素直な感想。野間口なんて、その後の活躍を見れば明らかに貰いすぎで、そりゃみんな巨人に行くわけです。

　で、巨人はこの「最高標準額」は2007年まではあくまでも目安であって上限ではない、したがってこれは遵守しなくても良いのでルール違反ではないと主張しています。「最高」なのか「標準」なのかわからないんだから、理屈の上ではそうかも知れませんが、だったら何のために申し合わせで決めたんだ、と誰もが思います。目安が1億5千万円で実際に10億円では目安になっていません。詭弁です。さすが江川の「空白の一日」を捻りだした読売らしい主張です。

　この件については巨人を断罪する人から、擁護する人、斜めに構える人までいろいろな意見が錯綜していますが、ルール違反ではないとしても、道義的にはおかしいことは間違いありません。同時期に西武と横浜が最高標準額を超える契約をしていたことが発覚して処分されているだけに、巨人だけ見逃すのはおかしいという主張は筋が通っています。

　どこの球団でもやっていたことだし、それも球団が強くなるための努力なんだし、今さらなんでそんな古い話を蒸し返すのか、という意見もわからないではありません。わからないではありませんが、それは誰でも速度超過で走っているのに俺だけ捕まえるのはおかしい、という主張に似ています。余談ですが、キムタクはトヨタのＣＭに出ているんだからもう少し慎重に運転すべきです。一般人とは立場が違うのですから。そして、巨人もプロ野球界のリーダーを自認しているのなら、それに相応しい慎重な振る舞いをするべきです。どこの業界でも、その業界のトップ企業は業界全体の利益やイメージを考えて行動するものです。巨人にはその視点が全く感じられません。

　この朝日のスクープは清武元巨人ＧＭのリークだと噂されているようで、朝日と読売の全面戦争になるんじゃないかとも言われています。かなりきな臭い話になってきていますが、そんなことよりも、プロ野球関係者はこれがいかに野球全体に対するイメージダウンにつながるかをもっと心配した方が良いと思います。大相撲が八百長問題でどれだけ痛手を受けたのか見ていなかったのでしょうか？こういうスキャンダル処理が後手に回れば回るほど、ファンの気持ちはひいていってしまいます。

　今シーズン、強引とも言える補強でまたも圧倒的な戦力となった巨人が独走するようなことがあれば、「やっぱり金の力か」と野球ファンは白けるばかりです。まあ巨人さえ勝てば後はどうなろうと幸せだという一部の巨人ファンだけは大喜びでしょうが、それを続けていると、気づいたら巨人ファン以外に誰も野球を見ている人間がいなくなってしまうと思います。 まあ実際、昔に比べると野球好きは減ったなぁと痛感します。若い人は本当に興味ないもんな、野球。