幹事クリタのコーカイ日誌2012

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2月22日 ● 高級フレンチレストランで気絶する男。

 先日久しぶりにMっちゃんとランチをした時のこと。見ると右目の横に大きな傷があります。例えるなら大相撲で投げの打ち合いになって、手を突くのを我慢して顔から落ちた力士の傷、みたいな感じです。貴乃花が現役時代によく作っていたようなすり傷。痛そうです。Mっちゃんの傷はちょうどカサブタになって、それが剥がれてきたくらいでした。

 どうしたの?と聞いたら「ミクニで転んだ」という意外な返事が返ってきました。いや、チンピラと喧嘩したとか、ラグビーでタックルされたとか、そういうアクティブな回答は最初から期待はしていませんでしたが、いくらなんでも「ミクニで転んだ」は意外過ぎます。

 転んだ、の部分はまだ良いでしょう。ただ「ミクニ」では普通転びません。ここでMっちゃんが言う「ミクニ」というのは、名古屋でも有名な高級フレンチレストランの「ミクニナゴヤ」のことです。名古屋駅のタワーズビルの52階にあって、ランチが4800円〜、ディナーが14000円〜、というハイクラスな店です。普通にカップルでディナーとワインを楽しんで5〜6万円というのが相場で、大都会名古屋と言えども、このクラスの店はそれほど多くありません。

 そんな高級レストランにMっちゃんは常連として通っています。ソムリエとも随分仲良しだそうです。いつも一緒に行くのは愛人としてもう10年も付き合っている「雌豹」さん。そんな頻繁にミクニに連れて行ってくれるのなら、彼女がMっちゃんなんかと別れない理由もわかろうというものです。

 先日も2人でミクニに行ったMっちゃんは、ちょっと料理の出てくるのが遅かったので、ソムリエに勧められるままにグラスワインをグビグビと空けていました。そして5杯くらい飲んでトイレに向かったところ、トイレの前でよろけて転んでしまったそうです。気がつくと仰向けに寝ていて、上からソムリエと店長が心配そうに「大丈夫ですか?」と覗きこんでいたとか。どうやら転んでしばらく気を失っていたようです。

 いったいどれだけ飲めば、転んで気を失うほど酔うのか、それも大きな傷まで顔に作って。しかも場所が場所です。学生がたむろすような安い居酒屋で一気飲みでもしたならわかりますが、高級フレンチレストランでその醜態はあり得ません。

 奥さんにはどう説明したの?と聞いたら「居酒屋で酔って転んだって」。そりゃそうです。確かにそちらの方がずっと話に信憑性があります。居酒屋で転ぶ酔っぱらいは世の中にたくさんいます。しかしミクニで転んで気を失う客は、恐らく空前絶後でしょう。ソムリエも店長も驚いたに違いありません。本当にいくつ伝説を作れば気が済むのか、さすがMっちゃんです。



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