幹事クリタのコーカイ日誌2012

[ 前日翌日最新今月 ]


 
1月31日 ● 不思議の勝ちあり。

 「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と言ったのは野村克也ですが、実はこれ、松浦静山の剣術書『剣談』からの引用だそうです。まあ数多くの勝負の修羅場をくぐり抜けてきた勝負師・野村だからこそ、この言葉にピンときて広めたのでしょう。先日の日曜日、僕もこの「不思議の勝ち」を経験してしまいました。

 恒例になっている山本麻友美プロとその妹分の元インカレダブルスチャンピオンT村さんとの最強女ダブにオジサンが挑戦するシリーズ。昨年は何回チャレンジしてもボコボコにやられてしまい、ゲームすらなかなか取らせてもらえませんでした。今年の目標は何とか1勝なのですが、圧倒的な実力差を考えると現実味は感じられません。

 日曜日のメンバーはいつものM原准教授と、山本プロとの練習会初参加のH金くん。このM原&H金の両名は同い年なのですが、見た目は片や小柄軽量、片や大型重量でプレイスタイルも対照的。走り回って拾いまくるM原くんに対し、体重を生かしたパワーショットで攻撃的に押しまくるH金くん。特にH金くんは年末に肉離れをして1ヶ月テニスを我慢しての参戦なので、余計に動きは遅くなっています。まあ今回は勝ち負けよりもH金くんに山本プロの凄さを感じてもらえれば良いかなと思っていました。

 最初のゲームはクリタ・H金組。頑張ったものの当然のように0-4。ただ4ゲームで7ポイントくらい取れたので善戦かなと思ったら、M原くんから「最初がチャンスなんですけどねぇ。温まってくると後はガンガンきますから」と言われてしまいました。確かにいつもそうなので、7ポイントで満足していてはいけません。実際、次のH金・M原組は4ゲームで3ポイントしか取らせてもらえずに早々にやられてしまい、こりゃ今日もゲームを取るのも大変かなという雲行きでした。

 ところが次のM原・クリタ組が2ゲームも取れたのです。一時は2-2と追いついて「おっ!」と思ったのですが、そこからさすがに山本プロがきちんと締めて2-4。でも久々にまともなゲーム展開になったのでこちらの意気は上がります。逆にミスが目立ったT村さんは首を捻っています。

 そしてまたクリタ・H金組。トスに勝ったのでサービスは僕から。このゲームを何とかキープできました。次に山本プロもキープ。H金くんもキープ。T村さんもキープ。さらに僕がキープ、山本プロがキープで、なんと全部サービスゲームをキープしての3-3です。別に僕たちのサービスが急にフェデラー並みになったわけではなく、なぜか相手がミスをしてくれるのです。特にT村さんのリターンが合っていません。リターンだけではなくストロークも、得意なはずのボレーまでミスが目立ちます。

 ここまでゲームが競るとは思いませんでしたし、僕は自分のサービスゲームを2つもキープできたので、この時点でもうかなり満足していました。ゲーム1つ取れれば御の字の相手にタイ。しかも全てサービスキープなんてきちんとしたゲーム内容です。いつもなら強力なリターンで「あれ〜」とやられているのに、なぜかキープできているんだから不思議な気分です。

 そしてH金くんのサービスゲームも、T村さん、山本プロ、T村さんと立て続けにリターンミスで瞬く間に40-0とトリプルマッチポイント。一体全体今日は、いやこの試合はどうなっているのかと変な気分でした。H金くんがそんなに凄いサーブを打っているわけではないのに、なぜかポイントがこちらに転がり込んでくるのです。そして最後のポイントも山本プロがセンターに打ってきたリターンが甘くなって僕がボレーしてあっさりそれが決まりました。これだっていつもならラケットを弾かれてミスショットになりそうなものなのに、こういう時はキレイに決まっちゃうんですよね。結局全部キープの4-3で最強女ダブに初勝利。よくわからないうちにあっさり勝ってしまいました。まさに「不思議の勝ち」です。

 もっともその後のH金・M原組はまたあっさりやられてしまいましたから、結局あの試合の時だけ「勝負の神様」が気まぐれを起こしたとしか思えません。テニスはほとんど実力通りの結果が出ますが、たまにこういう「何をやってもうまくいく(相手からすれば何をやってもうまくいかない)」時があります。負けた方にしてみれば納得のいかない本当にイヤな気分なのですが、勝った方も勝ったのに達成感が少ない妙な気分です。実力で勝った実感がありませんから当然なのかも知れませんが、山本プロの強さはこの2年でイヤと言うほど知っているので、少々のラッキーくらいでは勝てる相手ではないだけに不思議としか言いようがありませんでした。

 できたら次は「不思議」じゃなく勝ちたいものです。もしかしたら一生無理かも知れませんが、「諦めたらそこで試合終了だよ」と安西先生も言っていますしね。ま、きっと今度はいつも以上にボコボコにやられてしまう可能性の方が高いですけど。



twitterでもつぶやいています@kanjikurita

gooブログでも読めます「幹事クリタのコーカイブログ」


7