幹事クリタのコーカイ日誌2012

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1月11日 ● 『平清盛』低視聴率は薄汚いから?

 昨日に続いて大河ドラマ『平清盛』の話題です。初回の視聴率が関東で17.3%と歴代ワースト3位の低視聴率だったそうです(こちら)。まあこれはある程度は予想できたこと。松山ケンイチは実力は評価されていますが、ミーハー人気で数字が取れる俳優じゃありません。これが向井理だったらもっと視聴率は伸びたことでしょう。しかも初回の主役は中井貴一でマツケンは予告編でしか出てこなかったし。

 それに恐らく題材自体も一般受けが悪いでしょう。源平合戦は戦国、幕末と並ぶ動乱の時代として歴史ファンから人気が高いとは言え、主役はあくまでも源氏、特に義経。清盛は昔から悪の親玉的存在として有名です。「平氏にあらずんば人にあらず」とか「奢れる平家は久しからず」とか、そんな言葉ばかりが伝わってしまっているように、ヒールぶりばかりが喧伝されています。先見の明があって政治的手腕も軍事的手腕も優れていたとか、理知的で合理的であったとか、それでいて結構人情家であったこととか、そういう清盛の良い面はほとんど知られていません。

 ただ一般受けは悪いとしても、狙いは良いと僕は思っています。そういう悪人的清盛のイメージを覆し、退廃した公家社会を打ち壊して新しい武家社会を築いたパイオニアとしての清盛を描くというのは、大河ドラマらしい志の高いテーマです。低視聴率スタートだからと言って、ひるむことなくNHKは新しい清盛像を骨太に描いていって欲しいと願っています。

 ところがここにアホなことを言うおっちゃんがいました。兵庫県の井戸敏三知事が低視聴率について聞かれて「薄汚れた画面」「チャンネルを回す気にはならない」だのと批判したのです(こちら)。要はせっかく地元兵庫が舞台になる大河ドラマなのだからもっとキレイに撮ってくれないと地元のイメージアップにつながらないじゃないか、とクレームをつけているのです。この人には観光客誘致しか頭にないのでしょう。そのためには画面がキラキラと華やかなら良いと思い込んでいるのです。

 昨年の『江』に比べてはるかにリアリティのある今回の『平清盛』の絵を僕ははるかに高く評価します。極力色彩を抑えた画面が本当に当時と同じかどうかはわかりませんが、少なくとも平板で書き割りみたいな絵を見せられるよりもずっと生き生きとしていました。「スイーツ大河」と揶揄された昨年よりも、少なくとも甘さはかなり控え目です。もっとも評価すべきあの「埃っぽい絵」を否定するなんて、井戸知事は映像作品を見る目がないということを自ら告白したようなものです。ま、観光に来てお金を落としてもらうことしか考えていないのだから、目が眩んでしまっているのも無理からぬことなのかも知れませんが。頻繁に大河ドラマの舞台となっている京都や愛知の人間はそんなこと言いませんけどねぇ。



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