幹事クリタのコーカイ日誌2012

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1月10日 ● 大河ドラマ『平清盛』第1回。

 NHK大河ドラマ『平清盛』がスタートしました。昨年の『江』があまりと言えばあまりの惨状だっただけに、あの後ならどんなドラマを作ってもマシと思われるだろうというフォローの風の中のスタートです。ただし『坂の上の雲』と比べられたら一気にハードルが高くなってしまいますが。

 冒頭は一昨年の『龍馬伝』を思わせる埃っぽいロケシーンからで、これはなかなか良い感じだなと思いました。どうも大河ドラマはスタジオ撮影がメインだといかにもチャチな感じがしてしまいます。まして武士が主役のドラマなら、やはり野性味溢れる映像を作って欲しいところです。

 平家が壇ノ浦の戦いで敗れたところから始まり、一気に清盛が生まれた時点まで回想するというやり方はありきたりではありますが、源平合戦の歴史を知っているという前提で作っているならこれもありでしょう。キャスティングは大河らしく有名俳優がたくさん出てきますが、役者の格を考えると、ちょっと金をケチったかなという感じも否めません。それはタイトルロールで松山ケンイチの後に二枚目でいきなり吹石一恵が出てきてしまうことでもわかります。この並びは軽すぎます。しかも吹石一恵は初回で死んでしまうのですから。

 このドラマでは清盛は白河法皇のご落胤説をとっています。まあ面白くしようということでしょう。白河法皇と鳥羽上皇のドロドロぶりも描いています。最近の大河のテイストではこの天皇家(ドラマでは「王家」)のスキャンダラスな歴史にあまり踏み込めないのではないかと思っていましたが、それなりにアダルトな描写でした。まあ何も知らない我が家の住人たちはちょっとポカンとしていたので、伊東のお父さんがいかにエロ法皇だったのかを解説しておきましたが。

 ミスターミキプルーンが武器も持たずに海賊船に単身飛び込み暴れ回るシーンは、無茶苦茶と言えば無茶苦茶、爽快と言えば爽快。ジャッキー・チェンかジャック・スパロウかという感じで、僕には微笑ましく感じました。まえだまえだの子役起用も賛否両論あることでしょう。真面目な顔をしていればともかく、笑顔になるといつもの漫才の時の表情になってしまうので途端にガクッとなってしまいます。松田聖子も聖子そのままなんですが、アイドル時代に比べれば年相応に演技もマシにはなっていました。昔が大根過ぎただけですが、これも話題作りですから大目に見ましょう。

 残念なのは、相変わらず現代的な政治感覚・人権感覚でドラマを作っていること。当時の人間がそんなに民主的なわけないのに、やはり現代人に共感できる理想を言わせないと視聴者が感情移入できないということなんでしょう。最近の歴史ドラマは大河に限らずすぐに為政者が「世の太平のため」「民の幸せのため」などと言いますが、そんな人道的な理由でドロドロの権力闘争をしていたとは到底思えません。

 初回はまだ主役がマツケンではなく中井貴一だったので、今後どうなっていくか読みづらいところはありますが、まずはそこそこの滑り出しだったと思います。少なくとも昨年の『江』の初回に感じた「強い違和感」はなかったのですから。



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