幹事クリタのコーカイ日誌2011

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6月23日 ● 伊達は「奇跡の人」。

 クルム伊達公子の2回戦はヴィーナス・ウィリアムズ。最近ランキングを落としているとは言え、それは出場試合数を絞っているからで、実力は相変わらずトップ10クラス。しかも芝は特に得意なコートで、ウィンブルドンでは優勝5回準優勝3回。伊達にとっては厳しい相手です。

 ところが伊達はヴィーナス対策を十分に考えてきていました。得意のライジングでテンポを早くしてコートを広く使って展開。ヴィーナスを走らせます。ファーストセットはそれが見事にはまって伊達が取りました。しかしセカンドセットに入るとヴィーナスも対応してきます。何よりヴィーナスには強烈なサービスがあります。伊達もよく食らいついていきますが、セカンドセットはヴィーナスが取っていよいよファイナルセットに。

 40才の伊達はもちろんですが、ヴィーナスも31才で体力面には不安を抱えています。どちらが先にエンストを起こしてしまうのか、ベテラン同士の試合は体力と集中力の削り合いです。お互いにチャンスをつかみながらも互角な試合を続けます。相変わらず伊達はライジングと展開力で、ヴィーナスはサービスと長い手足を生かしたカバー力で攻め立てます。ともに一歩も引かない激しい試合になりました。

 6-6までは全くイーブン。むしろ伊達に小さなチャンスがありました。しかし13ゲーム目についに伊達のサービスをヴィーナスがブレイクします。そして14ゲーム目に伊達の刀が折れました。6-7、6-3、8-6でヴィーナスが勝った3時間のゲームは女子テニスの頂点に近い密度の濃い、緩んだところがない素晴らしい内容でした。

 12年のブランクの果てに復帰した40才の小柄な日本人プレーヤーが、ここまで世界のトップクラスと戦えるのは「凄い」の一言です。観るものをここまで感動させるアスリートはなかなかいません。まさに「奇跡の人」です。今回は勝てませんでしたが、全仏の頃のスランプは脱したと思います。全米の伊達のパフォーマンスが楽しみです。




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