幹事クリタのコーカイ日誌2011

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6月20日 ● 読んだけど見てない『阪急電車』。

 「見てから読むか、読んでから見るか」というのは、昔の角川書店のキャッチコピーです。40代以上なら知っているかも知れませんが、原作小説と映画を両方売りたかった角川が始めたこの商法は大当たり。僕も当時大学生だったので、乗せられて随分たくさんの角川映画を見に行ったものです。

 で、「見てから読むか、読んでから見るか」ですが、僕は「見てから読む」方が好きです。理由のひとつは2時間程度の映画ではどうしても原作を端折ることになるので、「読んでから見る」と「あのシーンがない」とか「伏線がなくなった」とか「唐突過ぎる」などストーリー上のアラが気になってしまって映画に集中できないからです。映画として純粋に見るのではなく原作との間違い探しをつい始めてしまうので、映画が楽しめません。

 もうひとつの理由は「読んでから見る」と、自分の頭の中でイメージしていた登場人物の姿カタチ声などが映像化された時にどうしてもズレて違和感があるからです。主人公のルックスと声は特に大事です。そこに違和感があると、これまた映画を純粋に楽しめません。

 で、ここから本題ですが、有川浩の小説『阪急電車』の映画化作品が意外に評判が良いみたいです。僕は先に小説を読んでしまったので、映画化されると聞いて上記のような理由で「しまった、早まった」と思ってしまいました。この「阪急電車」は幼児から老女まで女性が主役の連作小説です。他にも本オタクのOL、元気な女子高生、田舎出の女子大生、結婚式帰りのアラサーOLなどなど、何人もの女性がそれぞれの短編の主人公として登場しますが、それぞれにキャラが立っているので自分なりのイメージも膨らみます。

 ところが後で映画化とそのキャストを聞いて「やっぱり違う」と思ってしまいました。特に違和感があったのが婚約者を寝取られたアラサー女性の翔子役を演じる中谷美紀。このアラサー女性は頭が良くてクールで気の強いかなりの美人。現在35才の中谷美紀は、そもそも年齢がいきすぎていますし、僕の頭の中ではもっと背筋が伸びたような30才手前くらいのクールビューティをイメージしていました。役をふるなら10年くらい前の松嶋菜々子とか。まあ今なら仲間由紀恵あたりかな。もちろん中谷美紀こそピッタリという人もいるでしょうから、あくまでも僕のイメージでしかないんですけどね。

 DV男と付き合っている女子大生役の戸田恵梨香はイメージに近いです。なにより彼女は神戸出身。と言うか、主要キャストで関西出身じゃないのは中谷美紀と宮本信子くらいです。中谷美紀に違和感を覚える理由はそれもあります。関西弁のイメージが全然ありませんから。地域密着ドラマなんですから、全員関西出身のキャストで揃えて欲しかったです。

 まあ「読んでから見る」ではなく「読んだけど見てない」のに文句を言うのもおかしな話なんですが、キャストのイメージが違うと「読んでも見ない」になりかねません。キャスティングは本当に難しい仕事だと思います。




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