幹事クリタのコーカイ日誌2011 |
5月1日 ● 「消臭力」のCMの隠されたメッセージ。 エステーの「消臭力」と言えば、「しょうりゅうりょく」ではなく「しょうしゅうりき」だとわざわざCMで強調するおかしさが話題でしたが(長州力にちなんでつけられているからです)、いま流れているCMは金髪の美少年がいきなり「しょ〜しゅう〜りきぃ〜!」と歌って驚かすバージョン。相変わらずエステーは変なトーン&マナーのCMを作るなぁと面白がっていたら、なんとあれは震災バージョンだっということを知りました(こちら)。 なんでも用意してあったCMを敢えてお蔵入りにして、震災後に急遽企画したそう。あくまでも商品CMとしての立ち位置を守りつつも、震災後の人々の気持ちを考慮して、さらにエステーらしい「驚き」と「笑い」を入れたそうですが、確かに反発や顰蹙を買うような表現は避けつつも、多くのともすれば押しつけがましい善意の震災CMに比べてずっと肩の力が抜けています。これが「エステー流」なんだと言われると納得です。 しかも、あの少年の背景の街はリスボンですが、リスボンを選んだのも実は今回の震災と関連があるそう。リスボンは1755年に地震と津波で6万人以上の犠牲者を出していて、そこから復興して美しい街を築いた歴史を持っているそう。東北の復興を願って敢えてリスボンを選び、それをCMでは全然触れないで見せるだけなのも良いセンスをしています。 震災後に作られたCMがたくさん流されている昨今ですが、こういう意図をしっかり持っていて、なおかつそれを直接的に表現しない抑制が効いたCMはそれほど多くありません。どうしても過剰に語りたがるクライアントが多い中、削ぎ落とした表現で伝えるCMを作ったエステーの決断に拍手を送りたいと思います。
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