幹事クリタのコーカイ日誌2011

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4月23日 ● スーちゃんの訃報。

 昨日クライアントに行った時の雑談。クライアントの40才手前の男性から、「キャンディーズというのはどういう存在だったのですか?」と聞かれました。彼は僕よりも一回りくらい下なので、1970年代のキャンディーズ黄金時代はまだ幼稚園〜小学生。名前は知っていてもよく覚えていないそうです。仕方なく、と言いつつ、歌謡曲マニアの僕は当時のアイドル状況について熱心に語ってしまいました。

 僕の中ではキャンディーズというのは天地真理、南沙織、麻丘めぐみ、アグネス・チャン、浅田美代子らが築いた「アイドル」というジャンルに「グループ」という形式を提示した最初の人たちです。アイドルをどこから定めるかは諸説あると思いますが、僕の中では女性アイドルは天地&南以降だと考えています。そして、グループ形式の女性アイドルの原形はザ・ビーナッツではなくキャンディーズです。

 その後、ピンクレディーの爆発的人気に食われてキャンディーズの人気はジワジワと下降線を辿りますが、あの衝撃の「普通の女の子」宣言によって再燃。以降、後楽園球場でのラストコンサートまで一気に突っ走るわけです。女性アイドルの引退による人気盛り上げという「メタアイドル」的手法もキャンディーズが最初です。そういう意味では今のAKB48の源流をたどればキャンディーズにいきつくということになります。

 キャンディーズと言えば作家・山口瞳の名言(?)が思い出されます。「スーちゃんを妻にし、ランちゃんを愛人にし、ミキちゃんを秘書にしたい」。まあ男の勝手な欲望という部分は置いておいて、キャンディーズの3人の個性を見事に一言で表現しています。美人で人柄が良さそうなスーちゃん(田中好子)、色っぽくて男を惑わせそうなランちゃん(伊藤蘭)、スマートで頭の良さそうなミキちゃん(藤村美樹)。個性的な3人がひとつのグループにいてこそのキャンディーズでした。

 僕は当初はスーちゃんが好きでした。キャンディーズのデビュー当時はスーちゃんがセンターだったのも、彼女が一番可愛らしくて正統的な美人だったからでしょう。その後、ランちゃんがセンターになってキャンディーズはブレイク。時代はより個性的な女性を求めていたのです。僕もその頃には10代後半になっていて、ランちゃんの魅力もおぼろげに理解できるようになってきました。そして大人になってからはミキちゃんが一番好みになりましたが、三者三様の魅力はもちろん理解しています。

 スーちゃんはキャンディーズ解散後、女優として着実な足取りを続けていました。近年のお母さん役は安定感があり、今後は孫をもつ品の良いお祖母さん役もそろそろかなと思っていたのに、まだ55才という年齢で逝ってしまいました。これは先に書いたように天地真理以降のトップクラス女性アイドルの初の死です(岡田有希子のような例外を除けば)。今後は年とともに少しずつこうした訃報が増えてくることでしょう。同年代を生きた人間として寂しい限りです。




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