幹事クリタのコーカイ日誌2011

[ 前日翌日最新今月 ]


 
3月21日 ● ACのキャンペーン。

 テレビではようやく通常番組が放送され、一般企業のCMも流れ始めています。とは言え、まだまだ番組も震災対応で、以前放送したものの焼き直しが多いですし、CMもあれほど目立っていたパチンコとかはまだ見かけません。半分以上はACのCMです。

 ところでこのACのCM、一時期あまりに大量に流れたせいでACに苦情が殺到しました。そのほとんどはACを勘違いしているもので、「同じCMばかり流すな」「内容が震災に合っていない」「税金のムダ使い」などと言われたようですし、脅迫まであったとか。「耳障りだ」と言われたのか、最後のサウンドロゴの音声も消したりしています。

 ACにとっては誤解によるとばっちりなのですが、ちゃんと謝罪をし、震災対応のCMを急遽制作しました。僕は広告業界の人間なので、当然ACとは何かを知っているのですが、この業界に関係のない人は意外にACのことを知らないんだなぁと改めて思ったので、そういう人に向けて説明しておこうと思います。

 ACは正式には「ACジャパン」、英語名を「ADVERTISING COUNCIL JAPAN」と言います。以前は「公共広告機構」と言っていましたが、2009年に改称しました。広告を取り扱う企業(広告業界、新聞業界、放送業界など)が会員となって運営されている社団法人であり、国とは関係ないので税金を使っているわけではありません。実はNHKも会員で、NHKでもACのCMは流れています。

 毎年、今回大量に流れたような啓発的な広告キャンペーンを制作しています。キャンペーンには全国キャンペーン、地域キャンペーン、支援キャンペーンの3種類があり、全国バージョンの内容と地域に特化した内容を分けています。支援キャンペーンはいくつかの団体(日本脳卒中協会、国境なき医師団、あしなが育英会など)をPRするものです。

 これらは毎年広告代理店が無償でプレゼンテーションをし、その中から選ばれて制作されます。今も今年夏以降に流されるキャンペーンの選考が進められているところです。作られたテレビCM、ラジオCM、新聞広告は、会員となっている放送局や新聞社が無償で放送・掲載します。したがって、テレビCMの穴埋めなどで放送されることが多く、通常の場合はACのCMが目につくということは、その放送局の広告枠が売れていないんだなぁと推察されるわけです。

 しかし、今回は企業のほとんどがCMの出稿を自粛したために、結果としてACのCMだらけになってしまいました。だからACが同じCMを何度も流しているわけではなく、全ては放送局の判断なのです。ACとしてはいつどこでどんなCMが流れているかも把握していないはずです。

 今回はACにとってはとんだ災難でしたが、これでかえってACの認知率が向上したのは不幸中の幸いだったかも知れません。僕の同じフロアにも今放送されているキャンペーンを作った同僚がいます。彼らもこれほど多くの人々の目に触れたCMを作ったのは初めてだったでしょう。そうなった事情が事情だけに喜ぶことではありませんが、今後少しでもACのキャンペーンに注目してくれる人が増えればいいなと思います。




twitterでもつぶやいています@kanjikurita

gooブログでも読めます「幹事クリタのコーカイブログ」