その時、僕は会社のデスクでツイッターを見ていました。TLに「揺れてる」「地震だ」のツイート。その直後にユラユラと揺れはじめました。また地震か、と思っていたら、どんどん揺れは激しくなり、しかも長く長く続きます。フロアのみんなが騒ぎはじめました。防災ヘルメットをいち早く出してくる奴、テレビをつける奴。「東北が震源地らしい」。東北の地震で名古屋がこんなに揺れる？それはかなりヤバイよ。プレート型の大地震かも。

　テレビでは宮城県で震度7の速報。震度7って新潟中越地震以来。しかも宮城県ってことは津波の可能性も大。それは危険だ。テレビにかじりつきます。会社の安否確認メールが携帯に届きました。外出している社員に連絡を取ります。僕も自宅に電話したところ、娘が一人で家にいたらしくかなり不安そう。「ＣＤが落ちて２枚割れた」。まあＣＤだけで怪我がなかったのなら良し。ダイニングテーブルの下に潜り込んで震えていたらしいです。

　名古屋の震度は4。これくらいなら大した被害はないはず。むしろ東京以北が問題。テレビには次々と恐ろしい光景が映し出されています。市原のコンビナート火災、そして東北各地を襲う津波の映像。とてもこの世のものとは思えないような大津波が陸地を侵食していきます。まるでローランド・エメリッヒ監督の映画のよう。でもこれは現実。相当な被害が出ている。一体どうなってしまうのでしょうか。

　不安に思いつつ、ツイッターを見ます。携帯電話はつながらず、固定電話さえ東京方面はつながりにくいのに、ツイッターは健在。生の情報がどんどん入ってきます。ツイッターすげぇ！少しでも役に立つような情報はRTして広げなければ。

　しかし、おかしな話も流布されています。浅草で腹部から血を流して倒れているというツイート。みんながすごい勢いでRTして「早く助けてあげて！」。僕もそれはヤバイと思ったものの、どうも腹から血を流しているにしては冷静で誤字脱字もないきちんとした長文のツイートは変じゃない？と思って、本人のツイートをちゃんと読みにいったら「人を殺した」とか変なことばかり書いている。なんだ、これネタじゃん。悪質なイタズラだよ。RTするのをやめて眺めていたら、そのうちぼちぼち「これはデマだ」というツイートが増えてきました。騙された人たちが激怒しています。まあ気持ちはわかるけど、もう少し冷静に考えてからRTしようよ、本人もそう言ってせせら笑っていることだし。

　それ以外にもおかしなデマがいろいろツイッターから流れてきます。「阪神大震災では発生してから３時間後に一番大きな揺れがありました。気をつけて！」。ん？そんな話は聞いたことがない。ネットで調べても出てきません。３時間後にマスコミ各社が大きく報道したことはあったみたいですが。あれは早朝のことで、地震発生直後はマスコミも対応が遅れたんだよね。もっともこのデマは余震の危険性について喚起していることにはなるので、前のほど悪質ではないと思って放置しました。

　実際、余震はずっと続いていました。マグニチュード8.8。日本の観測史上最大の大地震。いつか起きると言われていたプレート型の地震がついに起きてしまったようです。しかも想像以上の規模で。余震は本震のマイナス1程度の規模で続くから、マグニチュード7.8前後の大きな地震がこれからしばらく続くとなると、東北地方を中心とした東日本は壊滅的な打撃を受けます。株価も一気に急落しました。２ちゃんねるで「日本終了のお知らせ」とか書かれるんだろうなぁ、と暗澹としてしまいます。

　ただ救いもありました。思った以上に菅内閣は素早く動きましたし、野党自民党も政治休戦を申し出て全面的に協力をすると言いました。当然のことですが大事なことです。ツイッターを見ていても、みんな何とか力になりたいと考えてアクションを起こしています。これは大きな国難ですが、国難を前にして国民が一致団結できたら乗り越えられるはず。日本人はこういう時にすごいパワーを発揮する民族ですから。自分もこれから何ができるか、よく考えて少しでも役に立ちたいと思っています。被災された皆さんには心からお見舞申し上げます。

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