幹事クリタのコーカイ日誌2011

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1月13日 ● バブル期の2人の先輩の思い出。

 昔、会社の大先輩でとても貯蓄好きという噂の人がいました。一時期僕の上司でもあったので、宴席で「どうやったらお金が貯まるんですか?」と聞いたところ、「ええか、クリタさん。お金を貯めたかったら、使わんことだ。使わずに貯金して利子がつく。その利子も貯金してまた利子がつく。その利子の利子だけ使えばエエ」と言われました。

 いやぁ驚きました。「利子の利子だけ使う」って言われてもねぇ。当時はバブル直前の空前の高金利時代で、銀行の定期預金が年利5%以上あった時代です。それでも「利子の利子」となると微々たるものです。100万円の利子が年間5万円。その5万円の利子だと年間2500円です。「何にもできねぇ!」と思いましたが、その上司は100万円ではなく桁違いの資産を持っていたのでしょう。1億あれば「利子の利子」も25万円ですからね。じゃなければ「利子の利子」なんてことは言えません。

 ただこの上司のようなケチケチ作戦は受けが悪く、別の先輩がやっていた「財テク」が当時の流行りでした。「クリタくん、いいかい。ハワイにマンション買うんだよ。ローン組むんだけどさ、それを貸せばローンの支払いよりはるかに高い家賃が入ってくる。利回りってわかるよね?貯金なんかしたって5%くらいだろ?不動産投資なら年利20%とかザラだよ。それでハワイに遊びに行く飛行機代とか向こうでの滞在費も経費で落とせちゃうんだよ。しかも値上がりしたら売れば元手が倍になるし。やらない手はないだろ?」と言われました。

 もう儲かって儲かって仕方ないのに、なぜクリタくんはやらないんだ、というニュアンスです。バブルっていう時代はいい年した大人たちが、そんなことばかりやっていました。誰も彼もが自分が働くのではなく「お金を働かせる」ことを考えていました。それで50才になったら仕事はリタイアして遊んで暮らせると真剣に思っていたのです。

 僕はまだ当時20代半ばで、仕事も覚えてきたところで楽しんでいましたから、さすがにそんな気にはなれず「財テク」には手を出しませんでした。あの時に先輩の口車に乗ってハワイにマンションなんか買っていたら大変なことになっていたと思います。その先輩は一時期は本当に羽振りが良かったのですが、バブルが弾けるとともに莫大な借金を抱えてしまい、最後は会社の金に手を付けて解雇されてしまうという悲惨な後半生を送りました。

 ちなみに「利子の利子」の上司は、もちろんバブル崩壊も見事に乗り切り、今は田舎で隠居生活を送っているようです。ただそこまでの禁欲生活が本当に幸せなのかどうかは他人からはわかりません。僕は結局どちらにもならず、と言うか、貯めることより使うことの方が好きなので、小金持ちにもなれずに普通にこのまま定年まで勤め上げるしかありません。ま、やりたいことをやっている分だけ、いつ死んでも幸せかも。




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