幹事クリタのコーカイ日誌2010

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9月13日 ● 谷啓とトロンボーン。

 谷啓が亡くなりました。家の階段で転倒して脳挫傷だそうです。78才。年を取ると階段は危険だなぁと思います。それにしても谷啓がもう78才になっていたとは。そりゃ自分も五十路が目前に迫るわけです。

 クレージーキャッツの思い出をネットで語れる人はどれくらいいるんでしょうか?それこそ僕たちくらいがクレージーキャッツを知っているもっとも若い世代になるんでしょう。進駐軍文化を色濃くまとったクレージーキャッツ。渡辺プロの看板タレントであり、昭和を代表するジャズバンドにしてお笑いタレント。「シャボン玉ホリデー」はまだ僕が幼稚園から小学生の頃。石橋エータローが脱退した1971年に10才ですから、彼らの全盛期には幼児でした。

 リーダーのハナ肇が死んだのが1993年、植木等が死んだのが2007年。そして今回の谷啓の死去で残るメンバーは犬塚弘と桜井センリの2人だけになりましたが、クレージーを代表する人気者3人が亡くなったのですから、終焉という感が強くします。

 谷啓というと、僕は小学校低学年の時に読んだマンガの思い出が甦ります。当時、週末に書道塾に行くと、そこにはマンガ雑誌がたくさん置いてあって、待ち時間にそれを読むのが一番の楽しみでした。そんなある日に読んだマンガ(タイトルも作者も覚えていません)の中に、トロンボーンを吹く主人公がいました。彼が「日本一のプレーヤーは誰か?」と聞くと、老師のようなキャラがいて「それは谷啓だ」と言うのです。

 主人公も僕も「ええっ!」と驚きます。谷啓と言えば「ガチョーン!」の人です。テレビの中で活躍するお笑いタレントなのに、その老師は「谷啓は実はトロンボーンを吹かせたら日本一なのじゃ」というようなことを言うのです。ショックを受ける主人公と、それ以上に驚く僕。まさにマンガの作者にしたら「してやったり」でしょうが、それ以来僕は谷啓のことをずっと「この人は日本一なんだ」と尊敬の眼差しで見ていました。後で知ったことですが、実際に1960年代の音楽雑誌の人気投票では常に上位に入るくらいの実力者だったそうです。

 最近サックスを習うようになってから、谷啓のことを時々思い出していました。楽器は違えども、日本一の奏者などと呼ばれるにはどれくらいの才能と努力が必要なのか、そしてそんなプレーヤーなのにテレビの人気者として活躍するなんて、谷啓はやっぱりスゴイやと40年振りくらいにしみじみ考えていたのです。天国ではいよいよクレージーキャッツが再結成されようとしていることでしょう。



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