幹事クリタのコーカイ日誌2010

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8月12日 ● 井上真央は「抜擢」とは言わない。

 井上真央が2011年春から始まるNHK連続テレビ小説「おひさま」のヒロインに選ばれたそうです。いま視聴率好調の「ゲゲゲの女房」に続き、また高視聴率を狙っての実績ある女優の起用だと思います。脚本も「ちゅらさん」の岡田惠和ですし、万全のシフトと言っても良いでしょう。

 朝ドラの主演女優というと、かつてはフレッシュな新人女優を起用するのが定番でした。若い女性の成長物語を、主役を演じる新人女優の成長ぶりとをシンクロさせながら楽しむというのが、ツウな見方です。新人女優にとっての登竜門というのが朝ドラでした。ところが、最近はそれなりに実績のある女優を起用することも多く、2006年「純情きらり」の宮崎あおい、「芋たこなんきん」の藤山直美、2008年「だんだん」のマナカナ、2009年「つばさ」の多部未華子、今年の「ゲゲゲの女房」の松下奈緒など、みな起用された段階ですでに新人とは言えないキャリアを誇っていました。

 井上真央もすでに芸歴は長いし(5才で子役デビュー)、民放ドラマの主演の経験もあります。NHKでの出演は少ないようですが、「花より男子」で一躍認知度が上がっていてCM出演も多いわけですから、むしろNHKが彼女の人気を利用しようとしていると言っても良いでしょう。

 こうした傾向は、NHKドラマのブランドパワーが低下している証拠です。かつてはNHKが売り出せば無名の女優もスターにできたのに、今では逆に民放で名前が売れた旬の女優を起用することで、視聴率を維持しているのですから。それが証拠に大河ドラマでも近年はずっと民放の売れっ子俳優を起用することが多くなりました。最近の大河ドラマで、骨太のNHKらしいキャスティングをしたのは「風林火山」くらいしかありません。後はフジテレビの月9並みのキャスティングばかりが目立ちます。

 別にそれが悪いというわけではありませんが、やはりNHKには民放の後追いをするのではなく、NHKならではの目の肥えたキャスティングで無名俳優を抜擢してもらいたいと思います。読売オンラインの当該記事には「抜てき」と書かれていますが、井上真央は決して抜擢とは言えませんから。



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