幹事クリタのコーカイ日誌2010

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7月14日 ● 「バラマキ党」と「金持ち党」。

 今回の参院選は「民主もダメだが自民もイヤ。どっちにも入れたくない」という人たちが苦渋の選択をした選挙だと思います。その気分はよくわかりますが、せっかく政権交代可能な二大政党制に移行したのに、政権党になると急にアラ探しをして文句を言って嫌いになるというだけでは意味がありません。

 長年の自民党政権で政府に文句を言うことが習い性になってしまった日本人は、もう少し二大政党制に慣れないといけません。言いっぱなしの文句は楽だし、批判をしていれば自分も一端の良い気分になれるでしょうが、実際の政治と言うのは「あちらを立てればこちらが立たず」の微妙なバランスを取る作業ですから、万人が喜ぶことなんて滅多にありません。自分の考えをきちんと持って、二大政党のどちらにより近いのかを検証しないと、常に非建設的な文句を言うだけになってしまいます。

 もっとも、今の民主党と自民党の間にあまり差がなく、極論すれば「好き嫌い」だけで2つに分かれているのもよくありません。根っこは同じで、単なるこれまでの合従連衡の結果の二大政党だからです。これでは選ぼうにも差異があまり感じられず選びようがありません。結果、どちらが政権党になろうとも出る文句は同じということになります。民主と自民の「大連立」という話が繰り返し出てくるのも、両者間に大した差がないからです。

 なので、多くの人が語っているように、早く政界再編をしてもっと解りやすい二大政党になってもらいたいものです。その場合の基準はイデオロギーではなく、外交政策でもなく、「小さな政府」志向の党と「大きな政府」志向の党という区分けでしょう。いわばアメリカの共和党と民主党です。公務員を削減し、規制緩和して民業を支援し、所得税・法人税を引き下げる代わりに消費税を上げ、経済競争を活性化する「小さな政府」党と、逆に消費税よりも所得税の累進性を増して金持ちと企業から税金を取って社会福祉を充実させ、高齢者や弱者を保護する「大きな政府」党。

 いまのところ自民党がより「小さな政府」志向であり、民主党が「大きな政府」志向であるとは思いますが、どちらの党内にも両者が混在しているのがわかりにくさの原因です。だから「大きな政府」志向の民主党の受け皿が、「小さな政府」志向のみんなの党になってしまったりするのです。あれこそ、国民が政策もしっかり読まずに雰囲気だけで政党を選択している証拠です。そして、どの政党も両者の良いところだけ(増税はしないのに社会福祉は充実させる)を耳障りの良いように選挙の時に訴えるから、矛盾したマニフェストに縛られて発言がブレてグダグダになってしまうわけです。

 子ども手当や高速道路無料化をきっちり実行せよと民主党に迫るなら、財政再建は後回しだし、公務員の削減を望むのも矛盾しています。政府が国民の面倒を丸ごと見るためには公務員の拡充が必要だからです。格差は小さくなりますが、所得税の増税は必須なので日本は高福祉高負担の国となり、働かないで年金を貰う老人と生活保護を受ける社会的弱者が良い目を見るので、経済の活性化は望めません。逆に働く若者や中堅世代の所得アップと景気対策を望むなら、消費税率アップと所得税・法人税の減税による直間比率の見直しを受け入れるのが筋です。それによって財政再建への道筋をつけられるのですから。もちろん格差は広がります。小泉改革による格差の拡大は「小さな政府」志向では当然であり、財政再建も格差の是正も、というのは矛盾した要求なのです。

 要は「みんなにバラマキ党」と「金持ちを作る党」という、わかりやすい方針を掲げた二大政党が生まれないとダメということです。そして、それぞれが4〜8年程度は政権を担当して実績を作り、疲弊してきたり腐敗してきたら別の政党と交代をする。高度成長時代のような「みんなで小金持ちになろう党」はもう時代的に難しいので仕方ないですね。



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