幹事クリタのコーカイ日誌2010

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7月3日 ● 晩年に入ろうとしているフェデラー。

 サッカーとテニスの両方を見ていると忙しくて仕方ないのですが、寂しいのはウィンブルドンから早々とフェデラーが姿を消してしまったこと。全仏でベスト8で終わったのは、まだ全仏だから仕方ないよな、と思えたものでしたが、さすがに彼の庭のようなウィンブルドンでベスト8に終わるとは思いませんでした。

 今大会は1回戦から苦戦を強いられていたフェデラーですが、それでも尻上がりに調子が良くなってきていたので、さすがグランドスラムの戦い方を知っているなと思っていました。準々決勝のベルディハ戦も、最初はリードされてまた苦戦しても、最後はきっと勝ってしまうんだろうと、本当にマッチポイントまで思っていました。

 しかし、最後までフェデラーのプレーに冴えはなく、数年前の全盛時を思うと信じられないような凡ミスを繰り返して、最後は気力まで失ったかのような負け方でした。あの生ける伝説、無敵の芝の王者が、こんな負け方をしてウィンブルドンを去るなんて、という思いです。

 もちろん、どんなに強いチャンピオンだって、いつかは衰えて勝てなくなりコートを去る日がやってきます。しかし、フェデラーはまだ28才。彼ほどの技術がある選手なら少なくとも30才になる頃までは大丈夫だろうと思っていました。さすがにナダル相手には苦戦するだろうけれど、それでもフェデラーのたくさんある武器を生かせば、相変わらず常に優勝を争うポジションにいられるだろうと思っていたのです。

 恐らくフェデラー自身のプレーレベルはさほど落ちているわけではないだろうと思います。数年前と変わらない強さを維持しているように思えます。ただフェデラーを追ってくる若い選手たちのレベルアップが激しく、しかもそんな選手はかつてはナダル1人だけだったのが、今は集団でいることがフェデラーの帝国を崩す原因となっています。

 今大会のベスト4に残ったナダル、ジョコビッチ、マレー、ベルディハは1年の年の差しかない23〜24才の同世代。ソダーリング、ツォンガは25才と少し上ですが、それでもフェデラーよりは3才下。デル・ポトロとチリッチは21才、錦織は20才です。こうした選手がどんどん追い上げてきて、フェデラーらかつての「ニューボール世代」をいよいよ追いやろうとしています。

 かつてフェデラーやロディック、ヒューイット、フェレーロ、ナルバンディアンらがサンプラスやアガシ、ラフターらとの世代間抗争を繰り広げたように、これから1〜2年は、また立場を変えた世代間抗争が繰り返されることでしょう。フェデラーはウィンブルドン後はランキングも2003年以来の3位に転落します。もちろん、1位じゃなくてもグランドスラムで優勝する可能性は十分ありますが、これまでのような絶対的な存在ではなくなることでしょう。そうなってからどんなプレーを見せてくれるのか、ボルグのようにあっさり引退するのか、コナーズのように30代後半までプレーを続けるのか、晩年に入るフェデラーの今後が別の意味で楽しみです。



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