幹事クリタのコーカイ日誌2010

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7月1日 ● 琴光喜の解雇はトカゲのしっぽ切りに過ぎない。

 W杯とウィンブルドンにどうしても気を取られてしまい、ここで取り上げる機会を逸していた相撲界の野球賭博問題。正直、今回の名古屋場所開催に至る経緯にはかなり違和感を感じています。こんなことで場所を開催していいわけ?と思ってしまいます。いくら大人の事情があるにせよ、です。

 相撲協会は特別調査委員会の勧告を全面的に受け入れて、大関琴光喜と大嶽親方を「解雇以上」 (解雇か除名) で懲戒処分、時津風親方は「降格以上」の警戒処分。他の親方、力士、床山たちも謹慎やら休場やらということで、何とか名古屋場所開催のお墨付きを得ました。とにかく名古屋場所を開催することを最優先にした印象です。

 しかし、各個人に責任を押し付けて厳罰を下し、それで協会はのうのうと場所を開くというのはいかがなものでしょう?それはいわゆる「トカゲのしっぽ切り」ではないのでしょうか?琴光喜と大嶽親方をスケープゴートにして、相撲協会は責任逃れをしようとしているだけにしか思えません。本当に悪いのは誰ですか?本当にこんな事態を引き起こした原因はどこにあるのでしょう?たまたま性質の悪い力士がいただけ?個人の資質の問題?そんなわけないことは誰だって容易に推察できます。

 そもそもまだこの事件はまだ調査中のはず。事件の全体像もはっきりせず、真相がまだ解明もされていないうちにこんな厳罰を早々に下して、もし処分されてしまった人たちが大した問題もなかったとか、もっと別の黒幕がいたとか、後で新事実がわかったらどうするつもりでしょう?解雇された琴光喜の人生はもう取り返しがつかないのに。法的な手続きも踏まずに誰かを処分するのはリンチではないでしょうか?

 ここまで賭博が広がっている以上、個人の責任ではなく、組織全体に問題があることは明らかですし、処罰されるべきも個々の力士だけではなく、こういう体質を作り、また見逃してきた相撲協会の理事たちや、それを監督すべき文部科学省のはずです。理事長に代行を置いて済ませようとしていますが、相撲協会の組織編成そのものを見直し、いまの執行部は総辞職して外部からきちんとした人材を登用して協会を立て直すのが筋です。

 その上で、内部調査などではなく、警察がきちんと捜査した上で、暴力団と繋がりを持った力士や親方、床山などを調べ上げて処罰すべきであって、単なるカモの客だった琴光喜だけを切り捨てて終わるのは筋違いも甚だしいと思います。琴光喜と大嶽親方に責任を押しつけて、みんなが責任から逃れようとしているのが見え見えです。

 このままうやむやに幕引きしてしまったら、相撲協会の体質は何も変わらず、同じようなことがまた繰り返されるでしょう。協会の理事たちはそれでも自分たちが生き残れれば良いと思っているかも知れませんが、それでは相撲に対する国民の目は厳しくなり人気は下がるばかりです。まあ相撲が衰退してダメになっていくのも、それが時代の流れなのだとしたら仕方ないですけどね。長年のファンとしてはとても悲しいことですが。



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