幹事クリタのコーカイ日誌2010

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6月6日 ● 浜崎あゆみが孫正義に直接出演交渉した夜。

 金曜日の深夜のことでした。ツイッター上に「始めまして、浜崎あゆみと申します。孫さんーっっっ?犬のお父さんと共演したいでございます」というツイートがありました。本物の浜崎あゆみからです。すると「やりましょう。」という孫正義からの返信がすぐにありました。おおーっ、と思ったのも束の間、「孫さん、拝読いたしました。ありゃー、、、考えます。」と言うのは、一連の白戸家のソフトバンクのCMを作っている電通の澤本嘉光。すると孫は「澤本ちゃん宜しくね〜。」と実に軽い感じで発注。もうこんなことを公開しながらどんどん進めていって良いのか?という感じでした。

 さらに「写真家蜷川実花と申します。そのポスター私が撮りたいです!」というツイートが出てきてさらにびっくり。あの「さくらん」の映画監督でもある写真家の蜷川が自ら売り込みです。孫はすぐに「ayuちゃん、どうですか?」と聞いています。浜崎あゆみは「蜷川さんのように、様々なジャンルのクリエイターの方々が自ら手をあげて下さりこの輪がもっともっと広がり、繋がっていけば、日本が変わるキッカケになるのかも知れない、、、と若輩者ながら感じております!!」とこれに答えていますが、本当にツイッターがなければあり得ないようなことが一晩の間に起きていました。リアルタイムでそのやり取りを見ていて僕も「これはスゴイな」と驚いてしまいました。

 孫正義はもちろん本気でしょうから、今回の浜崎あゆみ出演を必ず実現させることでしょう。ツイッターの普及に力を入れている彼としては、こういう事例を作ることでツイッターの力を広く世間に示せるのですから願ってもないチャンスです。しかもツイッターでここまで公開してしまった以上、あまり時間がかかっては面白くありませんから、夏の間にはオンエアできるところまで持っていくのかも知れません。

 決定権のあるトップが直接やり取りすれば何でも話は早いです。日本社会独特の根回しとか腹のさぐり合いとか必要ありません。一気にスピードアップできるのは、昨晩のほんのわずかな間のやり取りで、あゆの出演がOKになったことでもわかります。確かにあゆの言うとおり「日本が変わる」可能性も十分に感じます。

 ただアートの世界なら、あゆが言うようにクリエーター同士がツイッターで輪を作ることもできるかも知れませんが、広告というビジネスの世界ではそうそう簡単ではないと思います。実際、その後にマンガ家のとり・みきが「では私がマンガ化を…」とツイートし、いしかわじゅんが「コピーは俺が。漫画家だけど。」と重ねましたが、見事に孫には無視されました。

 もちろん、とり・みきやいしかわじゅんはマンガ家だけにシャレでツイートしているのですから構わないのですが、本物のコピーライターは「コピーは俺が」とはとても言えません。なぜならこれまであのCMを作っているスタッフがいるのですから、いくら大御所のコピーライターでもそれを横から入って仕事を奪うようなことはしないし、そういう意味では蜷川のツイートも実に掟破りです。これまで一連のソフトバンクのスチール撮影をしてきたカメラマンは心中穏やかではないことでしょう。

 そういう既得権益的発想もツイッターはぶち壊すんだよ、という考え方もあるかも知れませんが、恐らくそんなに世の中簡単じゃありません。ドラスティックに変わる部分もありますが、それだけ軋轢も生じますから揺り戻しも必ずあります。ただ、ツイッターのパワーとポテンシャルは確かに感じました。ツイッター史上に残る事件だと思うので、こうして僕も記録しておこうと思います。



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