幹事クリタのコーカイ日誌2010

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5月29日 ● 錦織圭には「次」がたくさんある。

 1回戦で見事な逆転勝ちを見せてくれた錦織圭。フルセットを戦い抜いても体が大丈夫だったのが何よりの収穫でした。試合勘はまだ50〜70%程度しか戻っていないという話ですが、それでグランドスラムを勝てるのですから大したものです。

 そして錦織の2回戦は第3シードのノバク・ジョコビッチ。つい先日までナダルを抜いてフェデラーに続くランキング2位だったトッププロ選手。攻守を兼ね備えたジョコビッチにどこまで錦織のテニスが通用するかが見どころでした。

 立ち上がりは1回戦同様に錦織の調子が上がりません。ミスも多く1-6とあっさり終わってしまいました。ただスコアほどの力の差は感じられません。錦織のショットが少しずつ精度が落ちているだけという感じで、当たりだしたら互角に戦えるぞ、という雰囲気を漂わせています。

 2セット目に入ると錦織もエンジンがかかってきて、ガンガンと攻めていきます。ストロークの打ち合いではジョコビッチをむしろ押していて、ジョコビッチがドロップショットを多用して逃げているとすら思えるほど。エアKも見せるし、本当に楽しんでテニスをしているのがよくわかります。結局競り合いながらも4-6で錦織は落としてしまいますが、内容的には錦織の方が良いテニスをしていました。

 ここまでは試合展開が1回戦と同じ。ならば3セット目を競り勝てば大逆転の目も出てくるのではないかと思えます。実際、3セット目になると試合はますます錦織のペース。ジョコビッチは苦しそうな表情で防戦一方。お互いにブレイクをしながら4-4で迎えた第9ゲームが山でした。ここを取った方がこのセットを取るだろうというのが見ている方にすらわかります。ここを接戦の果てにジョコビッチが取りきって、そのまま4-6で錦織はダウン。ストレート負けを喫してしまいました。

 ただスコアは0-3ですが、内容は錦織の方が時には上回っていたと言っても良いくらいです。エースの数、エラーの数を比べても後半は明らかに錦織の方が優っていました。逆に言えばそれでもストレート勝ちできるところが、ジョコビッチの経験であり懐の深さなんですけどね。さすが世界3位のトッププレーヤーです。

 錦織としては負けたとは言え、収穫の多い大会だったと思います。グランドスラムのレベルでのプレーができるところまで回復したことも、ジョコビッチ相手に互角に打ち合えたことも、それでも体が悲鳴を上げなかったことも素晴らしい成果です。ジョコビッチとの差は何よりもサービス力の差でしたから、課題もハッキリしました。「次につながる」と勝負に負けたプレーヤーにはどのスポーツでもよく言いますが、まさに錦織にとってこれは次につながる敗戦だったと思います。

 「次」とは?もちろんウィンブルドンです。レッドクレーよりも芝の方が好きだという錦織。今回早めに負けたことで準備もしっかりできることでしょう。そしてさらにその「次」の得意なハードコートの全米へと夢はつながります。なにせまだ20才6ヶ月。「次」はいくらでもあります。



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