幹事クリタのコーカイ日誌2010

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5月28日 ● 伊達公子は負けず嫌いなら世界一か。

 先日感動的な勝利を飾った伊達公子が全仏2回戦に登場。しかし痛めた足は中一日で治るはずもなく、痛々しいテーピングのまま試合に入りました。相手のジャルミラ・グロスは今でこそ107位ですが、かつては50位台にいた23才。しょっぱなからガンガン攻められ、ほとんど動けずに伊達は立ちつくすばかりです。手が付けられない相手のショットに「無理はしない」と決めているかのようです。

 あっさり0-6で1セット目を落とした伊達でしたが、しかし棄権する様子はありません。これは2セット目からフルにいくぞ、という決意を感じさせる表情です。実際、2セット目は立ち上がりからかなり攻撃的なテニスを展開します。鋭いショットを前後左右に打ち分けて揺さぶりをかけていきます。そのゲームプランは1回戦のサフィーナ戦と同じ。

 ただ今回は相手が違いました。気が優しいサフィーナは伊達の故障に動揺してミスを繰り返してくれましたが、グロスは冷静に伊達の動かない足を攻めてきます。再三グロスが放つドロップショットを伊達は追うことができません。また逆を突かれたショットで切り返すフットワークも失われていました。

 伊達は1ゲームブレイクされた後も何とか食らいついていき、ブレイクチャンスも握るのですが、あと1本が出ません。最後はとうとう力尽きたように敗れてしまいました。0-6、3-6とスコア的にはワンサイドでしたが、伊達は動かない足でも何とか勝とうと知恵を絞り、最後の1ポイントまで戦い抜いたのです。きっと負けたことは悔しくて悔しくて仕方ないだろうと思いますが、プロとして最後まで諦めずに戦った姿は十分に感動的でした。

 最近、僕がよくテニスを教えてもらい仲良くしてもらっている山本麻友美プロは園田出身で伊達の一回り下の後輩になります。もちろんそれだけ年齢が離れていると普段はあまり接点はないらしいのですが、伊達の現役時代の逸話はよく伝え聞いているそうで、その負けん気の強さは本当にすごいものだったということです。ピリピリしていて本当に怖い人だったという伝説が園田には残されているとか。

 伊達が一度引退し、再復帰を果たす直前に伊達の練習に山本プロも付き合ったことがあるそうですが、その頃はまだ穏やかで優しく後輩の山本プロにも気を遣ってくれたそうです。「でもきっと今はまたすごく怖い人に戻っているでしょうね」ということでしたが、この全仏での2試合を見ただけで、伊達の負けん気の強さはテレビを通じても本当にビリビリと伝わってきていました。あの気迫は女子ではエナンくらいしか対抗できないのではないかと思うくらいです。世界一の負けず嫌いかも知れません。

 そんな伊達ですから、1回戦でサフィーナに勝ったことは十分に嬉しいでしょうが、2回戦で足が動かずに負けた悔しさも相当なものでしょう。今回の足の故障の影響がどれだけ残るかわかりませんが、伊達の得意なウィンブルドンでこの悔しさをぜひ晴らして欲しいものです。



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