幹事クリタのコーカイ日誌2010

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5月25日 ● 日韓戦よりも錦織戦。

 昨夜はサッカーの日韓戦がありましたが、たかがW杯前の親善試合という名の練習試合。本気でやって怪我でもしたら困るような試合をなぜみんな見たがるのか、さっぱり理解できない僕は、もちろん全仏オープンテニスの錦織圭の試合を観戦しました。こちらは1年余り休んでいた日本期待の若きエース錦織のグランドスラム復帰戦。もちろん世界最高峰の大会で本気で戦うわけですし、サッカー代表と違ってアスリートとしての煌めきや才能を格段に感じる錦織ですから見逃す手はありません。

 相手のサンティアゴ・ヒラルドは世界58位というコロンビアの22才。20才の錦織よりは年上ですが、ランキングを急激に上げている伸び盛りの若手でしかもクレーコートのスペシャリスト。本来の錦織の実力を発揮すれば勝てそうな相手ですが、なにせ復帰したばかりで体力も回復具合も未知数ですから、厳しい試合になることは予想されました。

 立ち上がりはヒラルドのペース。錦織も悪くはないのですが、相手が良すぎるという感じでつけ込む隙がありません。1セット目はあっさり6-2でヒラルド。錦織はまだ調整をしている様子でした。2セット目に入って錦織のプレーは良くなってきていますが、相変わらずヒラルドの好調さが目立ちます。4-4から1ブレークされて4-6で2セット目もダウン。いよいよ錦織は崖っぷちです。

 3セット目に入ると錦織のエンジンがかかってきたのがわかります。随所にこれまで以上のプレーが目立ちはじめ、サービスキープも楽になってきました。しかしブレイクがなかなかできません。惜しいところまではいくのですが、ブレイクポイントをものにできないままタイブレークに突入。しかし、もう流れは錦織でした。タイブレーク中に鮮やかなドロップショットを2本決めて見事に3セット目を奪取。これはいけるぞ、という感じがひしひしと伝わってきます。

 4セット目は明らかに錦織のペース。このセットでようやくブレイクも果たし、一気に5-1までリードを広げます。途中でヒラルドはトレーナーを呼んだりしてペースダウン。このセットを捨ててファイナルにかけているのがわかります。6-2で軽く4セット目を奪った錦織がいよいよファイナルセットに突入しました。

 ファイナルセットは一進一退の攻防ながら、常に錦織が先手を取っていきました。先にブレイクを果たすと、その後も果敢に攻め続けます。セカンドサーブをジャックナイフで叩き込み、ボレーで決める、ドロップショットを落とす、時には攻められてもスライスで鉄壁の防御を見せて凌ぎます。スコアこそ競り合ったものの、最後まで錦織は掴んだ流れを手放さずに6-4でもぎ取り、見事な逆転勝利を収めました。3時間半を超える熱戦を最後まで戦い抜いた錦織は完全に故障から復活したと言っても良いでしょう。

 錦織のテニスの魅力は楽しそうで奔放でアイデアに満ち、見ていて面白いことです。パワーで圧倒するようなテニスでも、ひたすら粘る根性と体力のテニスでもありません。駆け引きを楽しみ多彩な引き出しからいろいろなプレーを見せてくれます。何より本人が一番テニスを楽しんでいることが伝わってくるからこそ、見ているこちらも思わず引き込まれて応援してしまいます。勤勉さだけが取り柄の日本人に珍しいプレーヤーであり、サッカー日本代表に一番欠けているものを錦織は持っています。だからどうせ見るならサッカーよりもテニスなのです。

 錦織の次の相手は第3シードのジョコビッチです。フェデラーとナダルという2人の伝説的プレーヤーの陰に隠れてはいますが、柔軟なテニスをする攻守を兼ね備えた楽しいプレーヤーです。錦織とジョコビッチの対戦はファンとしては本当に胸が躍るような組み合わせ。錦織はトッププレーヤーと対戦すると萎縮するどころかますます力を発揮するタイプなので、世界がビックリするようなことが起きるかも知れません。本当に楽しみです。



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