幹事クリタのコーカイ日誌2010

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5月8日 ● 鳩山と沖縄を対立させたいのは誰だ?

  鳩山首相が沖縄基地移設問題で火だるまになっています。国外移転、最低でも県外移転を5月末までに道筋をつけると公言(公約ではないそうです)しておきながら、いよいよそれが無理となったことを認めたことで、全方位からダメ出しをくらっています。まあ鳩山首相の発言だけ見ていれば、それも無理はないかなと思います。あまりにもナイーブで政治家らしからぬ発言の連続だからです。「この人に一国を率いるのは無理だなぁ」と多くの国民に思わせてしまいました。

 ただ、そうは言っても僕には今回の件は「鳩山退陣」のために利用されているとしか思えません。なぜならそもそも沖縄の基地問題を早期に解決することなんて、誰が考えたって無理難題に決まっているからです。アメリカが納得する解と沖縄の人たちが納得する解と基地を受け入れる地域の人たちが納得する解がそうそう簡単に共存するはずもありません。あればとっくに誰かがやっています。

 そんな状況下で、これまでの自民党政権はアメリカ優先、沖縄軽視の姿勢を貫いてきましたし、沖縄以外の日本中の人たちもそれを支持してきました。沖縄に基地があるのは可哀想。でも自分の住んでいる街に基地は絶対に来て欲しくない。当然です。じゃあアメリカと同盟関係を断って米軍基地を全てなくし日本は軍事的に独立するのか?それは現実的には無理でしょう。中国とロシアと北朝鮮に隣接する我が国が、自前で国土を防衛しようとすれば、どれだけ軍事費を増強しなくてはいけないのか、考えるまでもなく大変なことです。核武装だって視野に入れることが必要になりますが、それは国内外ともに認めないでしょう。アメリカの傘の下にいるからこそ、比較的安い軍事費で安全保障を買えるのです。もちろん、中国やロシアといったアメリカよりも悪いパートナーと手を組むなら今のままの方がマシに決まっています。

 誰にも解決できない問題に対して、鳩山首相はチャレンジをしました。大方の予想通りにそのチャレンジは跳ね返されました。僕はそれで良いと思っています。少なくとも彼はチャレンジしたのです。沖縄の人たちのために、アメリカに立ち向かおうとしたのです。これまでの自民党政権では考えられなかったことです。石を投げた、その事実だけでも評価すべきでしょう。

 ただ鳩山首相の失敗は「県外移設ができない」からと謝ったことで、謝るなら「5月末までの解決ができない」から謝るべきであり、今後も粘り強く解決の道筋を探す、と言うべきだったのです。そうすれば沖縄の人たちも心強いし、鳩山首相に対する批判もここまで高まったりはしなかったでしょう。最初に書いたように、誰が考えたってこれは無理な難しい課題なのですから。

 また沖縄の人たちは鳩山に怒っている、という報道を僕は疑問の目で見ています。本当に?だって沖縄の人たちにしてみれば鳩山首相は希望の光でしょう。他の首相は最初から沖縄に基地ありきでした。本気でアメリカに対して基地移設を訴える気などなかったと思います。鳩山だけがチャレンジをしているのに、その鳩山に沖縄の人が「辞めろ」と言うでしょうか?それで沖縄に関心のない政治家が首相になってしまったら、また自民党政権時代と同じなのに。

 むしろ鳩山首相を辞めさせたいのは本土の人間でしょう。沖縄の基地問題ばかりに没頭して経済対策やら教育改革やら年金問題やら、あまた山積している他の課題を放置し、あえてアメリカと事を構えて国益を損なおうとしていると本土から見たら思えます。沖縄のことよりも、もっと今やってもらわなければならないことがあるだろう、と。だから鳩山と沖縄の間に亀裂を生じさせ分断させるために東京のマスコミは動いているのではないでしょうか?鳩山退陣に向けてレールを敷こうとしている。誰の意思を受けてそう動いているのかはわかりませんが。

 まあむやみに陰謀論を振りかざすのもバカみたいなのでやめておきますが、このままでは鳩山内閣の命運は間もなく尽きることでしょう。沖縄に入れ込み過ぎた彼の政治センスのなさが命取りになります。せっかく与党が変わっても、結局短命な内閣で終わることには変わりがないのですね。自民党も民主党も同じ穴のムジナですから、やることも似ています。



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