幹事クリタのコーカイ日誌2010

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4月8日 ● 「たちあがれ日本」というネーミングのダメな点。

 与謝野馨と平沼赳夫の新党の名前が「たちあがれ日本」。思わずそのネーミングセンスの無さに吹き出してしまいました。コピーライター的に言わせてもらえば、かなり評価低いです。と言うか、不採用。どうしてこれを選んだのか不思議なくらいです。

 ダメな点その1。理念が伝わってこない。政党の名前である以上、その政党が目指すべき社会を表す政治理念が込められていないとダメだと思うのですが、「たちあがれ日本」では単なるかけ声だけです。松岡修造じゃないんだから、声を張り上げるだけでは政治とは言えません。もっとも、もともと政治的姿勢が異なる2人が無理矢理手を組んだのですから、共通の理念なんてないんでしょうけど。

 ダメな点その2。耐久性がない。コピーにしろネーミングにしろ、普通はその言葉がどれくらい「持つ」ものかを計算して考えます。3ヶ月で良いのか、3年使えるのか、10年以上大丈夫なものか。その使用期間を最初から想定して言葉を開発していくのですが、このネーミングでは半年くらいが限界でしょうか?政党の名前なのですから本来ならほぼ恒久的に使える言葉にすべきなのに、これでは奇を衒ってみただけで政党名らしさもなく、最初から期間限定で考えたとしか思えません。

 ダメな点その3。オリジナリティがない。ありふれた手垢のついた言葉をコピーライターは嫌います。「たちあがれ日本」はキャッチフレーズとして考えたって、あまりにも平凡です。40才以下の世代が思い浮かべるのはまずガンダムの歌詞でしょう。ガンダム世代にターゲットを絞り込んだならわかりますが、明らかにそういう狙いではないですしね。

 ダメな点その4。語呂が悪く略しにくい。政党名に限らず日本では浸透する言葉というのは略しやすい言葉です。4文字程度に略すことができて、しかも語呂が良くないと覚えてもらえないし愛着ももてません。木村拓哉は「キムタク」と略してもらえたからこそ、あれだけのスターになったのだと僕は思っています。「たちあがれ日本」はどういう略称にするのか?「た党」「たち党」「た日党」「たれ党」。言いやすいのは最後の「たれ党」ですが、焼き肉のタレみたいですしね。

 ダメな点その5。共感性が低い。「たちあがれ日本」って、日本はいま寝てるの?倒れているの?座り込んでいるの?いや、そういう認識の人もいるでしょうが、それが一般的に共有されているかどうかです。日本はフラフラしているかも知れないけど立っているよ、という認識の人の方が多ければ、この政党名はピンときません。むしろ違和感すら感じます。「まだ倒れてない」と思う人には共感できず効かない言葉です。

 このネーミングをしたのは石原慎太郎らしいですが、頼む相手を間違えましたね。いかにも石原らしいマッチョ志向の古臭いネーミングセンスです。ま、こういう時だけ素晴らしいセンスを発揮されても困りますが。



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