幹事クリタのコーカイ日誌2010

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4月7日 ● 金を出さない代わりに口も出さない親心。

 以前にも書いたと思いますが、我が家は比較的貧乏でした。絶対的に貧乏かと言うと、世の中にはもっと貧乏な家庭はいくらでもあるのでそうは言いませんが、平均値からみたらかなり貧乏だった方でしょう。国立大学の「授業料免除」というのが当時あって、学生課の人は僕の父親の年収を一瞥しただけで「大丈夫だよ」と太鼓判を押してくれましたから。そんなところで一発OKをもらえる父親の給料って一体どれだけ低いんだよ、と思った18才の春を今でもまざまざと覚えています。

 お陰で僕は早くから自立することを余儀なくされました。大学生とはアルバイトするものなり、というスタンスで稼ぎまくり、そのお金で教科書を買いゼミ旅行に行き、さらにはコンパに行きテニスをしデートをしていました。授業料は免除されているので払っていません。親は「大学は自分で行くもの」という姿勢を崩しませんでしたから、最初から全くあてにはしていません。

 それで覚えたことは「経済的に自立すれば余計な口出しをされない」ということです。逆に言えば「親に依存して生きているのに、親に文句を言うな」と言うことでもあります。金を出せば口も出す、これは社会の当然のルールです。

 僕は高校進学の頃から親に進路について相談したこともありませんし、親からどうしろと言われたこともありません。自分のやりたいように常にしてきました。今思えば、何も口出しをしないで任せてくれていた親に対してありがたいと思いますし、それだけ親は僕のことを信じてくれていたんだなとも思いますが、当時は「文句を言わせないようにちゃんとやってるだろ」と突っ張っていただけでした。親心なんて子どもは全然わかっていないのです。

 うちの子どもたちはこの4月から上が大学3年生、下が高校2年生になりました。当時の僕に比べたら親に頼りまくりの甘えまくりです。「ちゃんとやっている」と胸を張って言えるほどの成績でもないし、上は合唱、下はギターと好きなことばかりやっています。でも僕は好きなことをしているのは放任しています。人間、好きなことをしているのが一番ですから。イヤなことをして人生を浪費することはありません。

 ただ、自分がそうだったようにお金はなるべく出さないようにしています。子どもにはケチだと思われています。いつもお金を出し渋る僕が「お父さんはもっと親に厳しくされていた」という話をするのですが、彼らは「時代が違う」と取り合ってくれません。それでも僕は「金は最低限しか出さない代わりに口も出さない」という自分がしてもらったことを子どもたちにも極力してやろうと思っています。それが実は「自由」ということであり、青春時代には一番幸せなことだと僕は信じているからです。この親心は、きっと彼らが親にならないとわからないかも知れませんが。



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