幹事クリタのコーカイ日誌2010

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1月17日 ● 『まっすぐな男』と『木下部長とボク』。

 ともに若いサラリーマンを主人公にしたドラマですが、対照的な2作『まっすぐな男』と『木下部長とボク』。前者は定番の枠に一流のスタッフと売れっ子の俳優陣を並べたA級、後者は深夜ドラマ枠に吉本の芸人をメインにした実験的なB級。ではどちらに軍配が上がったかと言えば、圧倒的にB級ドラマの方でした。

 『まっすぐな男』はタイトル通りの作品でした。タイトル通り過ぎて面白くも何ともありません。最初の30分くらい見たらもう後は予定調和で見る気を失ってしまいました。ストーリーにもキャラクターにも捻りがなく深みもなくリアリティもありません。コメディにしては笑えないし、ヒューマンにしては型通り過ぎ。深田恭子がせめてセクシー路線で出てくれれば見どころもあろうというものですが、それもなく本当に暑苦しい佐藤隆太を見ているだけのドラマでした。『結婚しない男』『白い春』の脚本を書いた尾崎将也が本当に書いているのかと疑いたくなるくらいです。

 それに比べて『木下部長とボク』は笑えます。まず主演の池田一真と板尾創路2人のとぼけた味わいが何とも言えません。脇のキャラクターがやたらと濃くて、一人一人が目立ちます。あり得ないストーリーだし、コントのような演技ですが、その割にリアリティがあって嘘臭くないのです。いかにも本気でドラマしている『まっすぐな男』の力み過ぎ感に比べると、力がうまく抜けています。

 リアリティの差は脚本家の差ではないかと思います。『木下部長とボク』の脚本は大宮エリー。昔は電通のCMプランナーでしたから、広告業界を描けばリアルなのは当たり前。特に細部にこそリアリティは宿るものですから、電通時代の経験が生きていることは明らかです。

 逆に建築業界が舞台の『まっすぐな男』は、本気で建築業界を描こうという意欲は感じられません。門外漢から見ても、ドラマに出てくる建築会社にリアリティは感じられません。『木下部長とボク』は今後も見るつもりですが『まっすぐな男』は第1回で撤退しようと思っています。


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