幹事クリタのコーカイ日誌2009

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12月11日 ● 自由だから悩む。

 先日も書いたように、テニスというのはいろいろな技術の集積でプレーをします。フォアハンドストロークひとつとっても、トップスピンやスライス、フラットにムーンボール、ロブにアングルショットなど多彩なテクニックがあります。ストロークだけではなく、ボレーもリターンもサービスもスマッシュも練習することがたくさんあって、なかなか上達しなくって、でも頑張ればちょっとずつ上手くなっているのを感じて、そこが面白いというのがテニスです。

 その中でも大抵みんな悩みが深くて、なんとかならないのかと思っているのがサービスです。まあバックハンドストロークも中級者くらいまでは結構苦手にしていたりするんですが、バックハンドはある程度のレベルになればそのうち何とかなるようになります。ところがサービスはプロだって悩んでいます。それだけ奥が深いのです。

 なぜサービスばかりいつまでも悩むのか?それは「自由」だからです。サービスというのはテニスのプレーの中で唯一自分だけで完成させることができます。誰にも邪魔されずに、自分のタイミングで自分の好きなように好きなところへ打てば良いのですから、本来なら一番易しくても良さそうです。ところがこんな好き勝手できるはずのサービスにみんな悩んでいるのは、実はこの「自由」さに原因があります。

 つまり自由にやって良いということは、正解が見つけにくいということです。型にはまらないのでいつまでも未完成。他のショットは相手のボールに左右されます。相手の打ってきたボールに対応しなければならないため、ある程度できることも限定されてしまいます。不自由だからこそ、やるべきことも決まってしまうので正解がわかりやすく、身に付けやすいのです。

 先ほどバックハンドはそのうち何とかなると書きましたが、比較的自由度の高いフォアハンドに比べて、不自由なバックハンドは型通りに打つしかありません。だから練習さえ積めば誰でもある程度は型を身に付けてバックハンドを打てるようになってくるのです。それに比べてフォアハンドは自由度が高いので、最初は簡単に思えますが、いつまでたっても改良の余地が残っているように感じてしまい、それだけ悩みが大きくなります。ましてもっと自由度の高いサービスに至っては一生「これだ」と思えずに悩んでばかりです。

 「自由度」が高いほど悩みも深くなるというのは、何もテニスだけではない気がします。進学だって就職だって、選択肢が少なく縛りが厳しければ誰も大して悩みません。買い物でもそうです。「あーでもない」「こーでもない」と悩めるのはたくさん選択肢があるからこそです。それは基本的には幸せな悩みです。ただ適度な数の選択肢だったら良いのですが、あまりにも多いとかえってうんざりするし、迷っているだけで正しい選択ができなくなる場合もあるでしょう。

 実は先日のスクールでコーチに新しいサービスの打ち方を教えてもらい、また改良に乗り出しています。テニス歴30年にしてまだまだ技術革新を追い求める気になるのがテニスの良いところですが、いつまでこうやって悩み続けるのかと、ちょっと情けなくもあります。


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