それは日付が８日から９日に変わる頃のことでした。トイレでよいしょと立ち上がった時。右ポケットに入っていた携帯電話がするりと落ちました。いや、落ちたという感覚はありませんでしたが、立ち上がって膝を伸ばした瞬間に右足の小指に激痛が走りました。「ぐっ」と声にならない呻きを漏らした僕は、一体何が起きたのかと思いました。見下ろすと足の傍らに落ちている携帯電話。「あ、こいつが犯人か」。薄れる意識の中で僕は犯人の姿をぼんやりと認識していました。恐らく落ちた時に携帯電話の角が小指の真ん中を直撃したのでしょう。じゃなければこれほどの痛みはないはずです。

　とりあえず便器の中に落としたわけではないのが幸いだったな、と頭の片隅で安堵しつつ、それにしてもこの激しい痛みはなんだ、と訝りながら携帯を拾ってトイレから出ます。足を引きずりながらリビングまで辿り着き、座ってからようやく落ち着いて足を見ます。パンパン。いや、拍手しているわけではなく。すでに足の小指が親指くらいに膨れ上がっています。

　「あちゃー」これは酷い。見る見るうちに赤く膨張した右足小指を見ながら「折れてないか？」と自問自答。触ってみたら当然痛い、熱い。折れているかどうかは判断がつきかねますが、折れていたってとりあえずどうしようもありません。湿布を出してきて巻き付けて、後は安静にするしかできることはないのですから。

　で、翌朝。腫れは少しおさまったような、でもそうとも言えないような微妙な感じ。痛みはまだしっかり残っています。とりあえず出社して会社の医務室で湿布とテーピングをしてもらいます。テーピングをするとかなり痛みは和らいで、普通に歩くことも、やろうと思えば小走りくらいも平気です。午後からはほとんど足のことを忘れて過ごしていました。

　２４時間経過した現在。うーん、まだ腫れはひいていませんし、痛みも残っています。しばらくこの状態が続きそうですが、ひどくなっているわけでもなく徐々に回復に向かっているようなので、このまま様子を見ることにしました。週末のテニスは多分問題ないでしょう。ないはずです。ないと良いな。

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