幹事クリタのコーカイ日誌2009

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11月12日 ● 森繁死去と市橋逮捕、どちらにも号外。

 市橋達也容疑者が逮捕される前後のお祭り騒ぎは一体なんだったのかと思った人も多いことでしょう。酒井法子の事件もそうですが、最近の犯罪報道は常軌を逸しています。イエローペーパーが猟奇的な犯罪や有名人の犯罪を追い回すのは仕方ないとしても、新聞、テレビ、雑誌のあらゆるメディアが同じテンションで犯罪者を追い回す様を見ていると、何か他に隠したいことでもあるのかな、と疑ってしまいます。

 「市橋逮捕」の号外が出て驚いていると、さらに「森繁死去」の号外。最近の新聞社は号外を乱発しています。確かに森繁久彌は日本を代表する俳優であり、その死は大きく扱われても良いでしょう。ただすでに俳優業を半ば退いて久しく、年齢も年齢なだけに、言っちゃ悪いですがその死は順当です。96才で老衰というのはまさに大往生であり、号外を出して大騒ぎするのではなく、静かに見送れば良いのではないかと思います。号外は驚天動地の大事件の時にこそ出して欲しいものです。

 森繁久彌で思い出すのは、僕たちの世代では「知床旅情」でしょう。加藤登紀子が歌って大ヒットしましたが、彼女の知的で清潔感溢れる歌とは別に、森繁の何とも言えない情感のある語りのような歌も好一対の素晴らしさでした。森繁は他にも古い大正から昭和の歌謡曲を次々と掘り起こしてはテレビで歌って、高度成長時代の子どもたちであった我々の前に提示して見せました。

 もうひとつ僕が思い出深いのはドラマ『だいこんの花』でした。僕が幼稚園の頃に放送されていた『七人の孫』はちょっと古過ぎてさすがに記憶にないのですが、『だいこんの花』シリーズは1970年〜77年なので、ちょうど小学校高学年から高校時代。テレビドラマを見るようになってきた頃に、ホームドラマ好きな両親と一緒に見ていました。この『だいこんの花』とTBSの『ありがとう』が僕のドラマの原点です。今でもユーモアのあるヒューマンなドラマが好きなのは、このドラマを見て育ったからかも知れません。

 どちらかと言えば森繁よりも市橋の方が大きくニュースでは取り扱われているようですが、やっぱりこうして書いてみると、森繁死去の方がまだ少しは号外に相応しい気がしてきました。そして、死亡報道がパンダのランランに負けた三遊亭円生のことを思い出したりもしました。