幹事クリタのコーカイ日誌2009

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11月6日 ● MJと松井秀と川崎フロンターレに見るプロ意識。

 いま話題沸騰中のマイケル・ジャクソンの映画『THIS IS IT』を観てきました。平日にも関わらず劇場は満席。意外と平均年齢が高くオジサンオバサンも多い。まあ僕もオジサンなので人のことは言えないけど、やはり「スリラー」世代が劇場に殺到しているんでしょうか?

 映画はもう圧巻の一言。とにかく最初から最後までマイケルが歌い、踊る。それもライブのリハーサルの映像なので、これまでのPVなどで見てきた作り物めいた「MJ」ではなく、生身の体温があり血が通っているマイケルがそこに確かにいました。プロとしてマイケルは厳しく音楽やダンス、照明などに注文をつけながらステージを作り上げていくのですが、でも彼の中にはスタッフやファンに対する愛情と信頼が確かにあって、それゆえに映画を観ている我々も含めてみんなでマイケルと一緒にライブを作り上げているような感動を味わえます。

 マイケルのスーパースターとしてのオーラの強烈さと、謙虚でフレンドリーな人柄が絶妙にマッチしていて、マイケルとこのスタッフたちで作り上げられたはずだったライブがどれほどファンタスティックなものになっていたのか、それを永遠に見られなくなったのが返す返すも残念でなりません。改めてマイケルは「プロ中のプロ」だっんだなと思いました。

 マイケルのパフォーマンスはアメリカ文化を体現するようなものですが、もうひとつアメリカを象徴するワールドシリーズで松井秀喜が4打数3安打6打点と大暴れしてシリーズのMVPを獲得する快挙を達成しました。メジャーの日本人選手と言うとイチローばかりが目立ってきましたが、ヤンキースに残れるかどうか微妙な松井秀の久々の活躍に喝采を送った日本人も多いことでしょう。

 松井秀もマイケルと同じでスーパースターのオーラがありながら、人柄は実に謙虚でフレンドリー。イチローや中田英のような子どもじみた突っ張った言動を取ることもなく、いつでも丁寧にマスコミやファンに対応している姿は本当に素晴らしいと思います。まして松井秀は今季限りでヤンキースを去るのではないかとシーズン中から噂されている厳しい立場にあります。それでいて、確実に自分のできる仕事をしてそれを威張らない。まさにサムライの姿です。これもまた「プロ中のプロ」だなと感じました。

 僕は松井秀とゴルフの石川遼の2人はどうして高校生の時点であんなにも人間が出来上がっているのか不思議でならないのですが、突っ張った言動をしなくても、普通にきちんと常識人としての振る舞いをしていても非凡な結果を残せるということを示してくれているところが素晴らしいと思います。

 そして平凡な結果しか残せなかったのに非常識な振る舞いをしたのがプロであるはずの川崎フロンターレの選手たち。ナビスコ杯決勝で負けて悔しいのはわかりますが、表彰式で首に掛けた銀メダルをすぐに外すし、Jリーグや協会幹部に背を向けたり、ふてくされて座り込んだり、手すりにもたれかかったり。高円宮妃や大会スポンサー社長らがいる中での失態だけに厳しい処分を下されても当たり前でしょう。

 スポーツというのは確かに勝ち負けを競い合うものですが、ゲームが終わればお互いに相手を称え合うのがスポーツマンシップです。負けた時は「グッドルーザー」にならなくてはいけません。プロテニスの選手は決勝戦の後に必ず表彰式でスピーチがあって、敗者は悔しさを微塵も感じさせずにきちんと勝者を称えます。しかもユーモアを交えて。それでこそプロです。プロスポーツ選手は他のアマチュア選手たちの範となるべき存在です。常に「見られている」ことを意識して恥ずかしくない言動を取るべきなのに、それができない川崎の選手たちはアマチュア以下です。石川遼にプロとは何なのかをきちんと教えてもらえば良いでしょう。

 川崎フロンターレは準優勝賞金5000万円を自主返還、武田社長ら役員3人は減俸、表彰式でガムをかんでいたDF森勇介は最低1試合の出場停止処分としたそうですが、これは球団としてはともかく、選手たちに対して軽すぎる処分です。森だけではなく表彰式に参加した選手全員の1試合出場停止と大幅な減俸くらいはやってもらいたいものです。だって彼らは対戦相手にもファンにもスポンサーにも敬意を表することができない、プロ意識を持ち合わせていない連中なんだから、お金払わなくてもいいでしょう。これからのサッカー界のみならず日本のスポーツ界全体のためにも、改めて厳しい処分を望みます。