幹事クリタのコーカイ日誌2009

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10月26日 ● ネットの意見と世間の意見のズレ。

 参院補選で民主党が予想通りに2議席を獲得しました。参院での単独過半数獲得を目指す民主党としてはもちろん負けられない戦いだったわけですが、再起をかける自民党が全く抵抗を示さないで負けたような印象を受けるのは、自民党の負った傷の深さを見る思いがします。

 民主党だって全てが順風なわけではなかったはずです。政権を取って実際に政策を実行していく段階でいろいろと齟齬をきたしています。前原国交相は矢継ぎ早にいくつもの難題に大鉈を振るっていますが、根回しをしない性格が反感を買っています。長妻厚労相は攻めるだけの立場から一転して守る立場になったためか、急に切れ味が鈍くなりました。原口総務相は完全に腰が引けた対応で単なる小物だったのかという印象。岡田外相は天皇のお言葉について余計なことを言って恥をかきました。菅特命担当相にいたっては、いるのかいないのかすらわかりません。

 そして、なにより亀井金融相の暴走(は、もちろん想定の範囲内)を抑えられない鳩山首相の優柔不断ぶり。特に日本郵政の次期社長に元大蔵事務次官を起用するというのは誰が聞いてもマズイでしょう。いくら小沢幹事長が裏で操っている人事だとは言え、これを止められなかったのは首相の器を問われます。民主党が自民党と同じことをやったら、より傷が深くなるのは自明です。

 ネットで見聞きする意見は有名無名を問わずブログでもTwitterでも、大半が民主党に辛辣です。正直、僕はネット世論はちょっと民主党に辛辣過ぎないか、という気もしています。それぞれの大臣、副大臣たちは、何とかこれまでの自民党政権から変わったことをアピールしようと努力しています。それが的外れだったりすることもあるでしょうが、官僚の抵抗を受けながらも、とにかく「政治主導」へと大きな変化をもたらそうとしている姿勢を萎縮させるようなことがあっては、何のための政権交代だったのかと思います。民主党に政権が代わってしまった以上、これを機に思い切った改革をやらせるようにしむける方が足を引っ張るよりもマシです。

 もちろん、民主党のやろうとしていることが全て良いとは僕も思っていません。むしろ総選挙の前から批判しているように、子ども手当や高速無料化を筆頭とした「バラまき」は反対ですから、多くのマニフェストは撤回してもらいたいと考えています。できたら自民党の施策(全てではありませんが)を、官に癒着していない若くて優秀で世襲ではない民主党議員に実行していってもらいたいくらいです。

 ネットの意見が世間の意見よりも民主党政権に辛辣なのは、まずより攻撃的になりがちなネットというメディアの特徴があると思います。そしてネットの方が常に世間よりも先に走っていくということ、「ネットウヨ」と呼ばれるような程度の低い連中の言説が大量に垂れ流されていることもあります。また全体にネット世論を形成している人の年齢が若く、中庸よりも極論を好むということもありそうです。

 いずれにせよ、ネットの意見が世間の意見に先行していくことは確かでしょうから、もう少しすれば世の中ももっと民主党に批判的になってくることでしょう。参院選ではかなり民主党に対する批判票も膨れ上がると思います。ただ、自民党があの様子では全然受け皿になり得ていないのが歯痒いです。選挙対策だけにその能力を振り絞っている小沢一郎に、自民党は果たして対抗できるのでしょうか?