２０１６年オリンピック開催都市に立候補していた東京が落選しました。１９８８年大会の名古屋、２０１２年大会の大阪に続く日本３連敗。僕の場合はオリンピックがくれば会社が儲かるだけに、個人的な都合で決まると良いなと思っていたので残念でしたが、まあ冷静に考えて難しいだろうなと思っていたのは、世間一般と同じです。

　細かいことは置いといて、単純に地域性で考えれば、南米初というリオデジャネイロが断然有利なのは当然。１０点満点。次に２０年ぶりの北米というシカゴとなります。こちらは６点。２００８年に続いての東アジア開催となる東京、２０１２年に続いての西ヨーロッパ開催となるマドリードは、ともに地域バランスを欠くという点で説得力に欠けます。それぞれ２点と１点。

　それに加えて東京の場合は世界に発信する「顔」がいないというのが大きな弱点でした。シカゴはオバマ大統領という強力な切り札がいました。加えてアメリカには世界的に知られたアスリートがゴマンといます。カール・ルイスでもマイケル・ジョーダンでもタイガー・ウッズでもジョン・マッケンローでも構いません。彼らが呼びかければそのアピール力はダントツです。１０点。

　ブラジルにはサッカーという国技があり、ブラジルのサッカー選手は世界的な有名人です。せいぜい北米あたりでちょっと知名度が足りないかも知れませんが、それ以外の国ではどこでもサッカーは人気スポーツであり、特にペレは老若男女が知っている超有名人で、しかもスキャンダラスな点もない人格者。ペレ以外にもジーコとかロナウジーニョとか有名サッカー選手がいくらでもいます。６点。

　スペインにもラウルなど著名なサッカー選手がいます。テニスファンとしてはナダルもいるぞ、と思いますが、世界的に知られたアスリートがそこそこいるのがスペインです。それに何と言ってもサラマンチＩＯＣ前会長がいます。「顔」としての発信力はブラジル以上です。８点。

　さて、日本の顔は誰でしょう？鳩山？オバマに比べたら全く知名度がありません。石原？誰ですか、それ？アスリートでも高橋尚子？有森裕子？まあ女子マラソンの世界ではそこそこ知られていますが、世界的な有名人かと言われたらどうでしょう？北島？室伏？世界にアピールするには知名度が物足りませんね。山下？谷？柔道はごく一部の国だけの人気スポーツです。浅田真央はちょっと知られているかも知れませんが冬季だし。イチローが知られているのはアメリカと韓国だけ。そもそも野球はオリンピック競技から外されてしまったしね。１点。

　２部門トータルすればリオ１６点、シカゴ１６点、マドリード９点、東京３点。これで最下位にならなかったのはシカゴに対するヨーロッパ貴族社会の感情的反発のお陰で、それがなければブックメーカーの予想通り東京が最下位でした。もちろん、地域性と顔だけで決まるわけではないと思いますが、細かな計画や、言葉だけ空疎な理念よりも、ざっくりとわかりやすい理由の方が投票には影響するのではないでしょうか？

　次に日本が開催地に立候補するなら、東アジアで少なくとも１２年は間が空きそうなタイミングで出ることと、何より世界にアピールできる顔を立てる必要があると思います。と言っても、簡単には見つかりそうもないですけどね。僕は車椅子テニスの世界王者である国枝慎吾はどうだろうと思っています。パラリンピックも開催されることだし、何より国枝の強さは半端じゃありません。ウッズやフェデラーのように「生ける伝説」のレベルですから。日本よりも欧米でのアピール力があると思いますけどね。