幹事クリタのコーカイ日誌2009

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8月18日 ● ボルトは人類を超えた。

 ベルリンでの世界陸上でウサイン・ボルトが100mを9秒58で駆け抜けました。北京五輪で横を向いての「欽ちゃん走り」で記録した9秒69。真面目に走ればどこまで記録が伸びるのかと言われて出した答えがこれです。2位のタイソン・ゲイが9秒71という世界歴代2位で走りながら、完全にボルトに置いていかれてしまったのですから、この力の差はどうしようもありません。まさにぶっち切りの強さです。

 北京で横を向かずに全力で走ったら9秒6を切るかもとは言われていました。しかし、本当にこんな記録を出してしまうとは、もはや人類の枠を超えているのではないかと思ってしまいます。彼はまだ22才と年齢的にも若く、これからも記録を更新していく可能性があります。最終的には9秒5台前半までたどり着いてしまうかも知れません。どこまで速くなるのか、これから数年が楽しみです。

 ボルトの驚異的な速さに引っ張られるように、世界のアスリートたちのレベルアップは激しく、この世界陸上100mの決勝戦では5人ものスプリンターが9秒台で走りました。それに比べて日本のエース塚原直貴は準決勝10秒25という平凡な記録で敗退。世界との差は太平洋よりも広いです。ずっと10秒フラットという11年前の日本記録すら更新できないでいるのですから、日本の陸上界の「遅さ」は目を覆いたくなるほどです。

 もっとも女子の100m世界記録はいまだにジョイナーがソウル五輪で出した10秒49。なんと21年前の記録です。いくらドーピング疑惑が囁かれるジョイナーの記録とは言え、同じソウル五輪でのベン・ジョンソンの9秒79という「黒い記録」はとっくに更新されたのですから、もう少し近づいても良さそうなものなのに、未だに10秒7台で女子のトップが争っているのも不思議です。女子にもボルトのような「突然変異」的天才スプリンターが現れるまで待たなければならないのでしょうか。その時にはどこまで速くなるのか?女性版ボルトの登場が待たれます。