幹事クリタのコーカイ日誌2009

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8月14日 ● 目新しさに欠ける『救命病棟24時』第1回。

 主演の江口洋介の事故により放送開始が1ヶ月遅れた『救命病棟24時』。視聴率的には1ヶ月遅らせたお陰か20%を超える好発進だったようですが、内容的にはイマイチかなと思いました。

 もちろんあるレベルのクオリティは維持していると思います。さすがに第4シリーズまで続くだけの人気ドラマです。演出の隙の無さも脚本の手堅さも俳優陣の頑張りもわかります。ただ、見ていて物足りないのは「目新しさ」の欠如。もう救急救命医療の問題点を今さら改めて見せてくれなくても、十分に社会的問題としていろいろなメディアで取り上げられていて認知されていると思うのです。ただ、それをどう解決していくべきかが見えていないだけで。

 だからこのドラマの冒頭で臨月の妊婦がたらい回しにされて危うく訴訟問題になりそうになるエピソードは、確かに救急救命、産科、小児科の医師不足と医師の訴訟リスクなどをまとめて描き出しているわけですが、正直言って「ドキュメンタリーとかで同じような話を見たな」としか視聴者としては言いようがありません。ドラマなんですから、現実をただなぞるだけの話を展開されても面白くないのです。

 もちろん第1回なんだから、まずは現状の医療の危機的状況を提示し、それを今後ずっとどう解決していくかを見せていくのだと言われればそうなんだと思うしかありませんが、果たして視聴者はいつまでも待ってくれるかどうか。もっと最初からグッと惹きつけて「なるほど、今回はそうくるか」と思わせないと、すぐに次回の視聴率は下がってしまうと思います。

 その点では第3シリーズは首都圏の直下型地震を縦軸に据えて一種のパニックドラマとして成功しました。今回はそういうテーマ設定が希薄です。医療自体の危機を訴えていこうという真摯な態度は見えますが、医療関係者ならともかく一般視聴者がどこまでそれだけで共感を持って見てくれるかどうか。やはりドラマとしての「華」がないと難しいのではないかと思います。

 それと江口洋介と対抗するキャラクターがユースケ・サンタマリアでは明らかに格が下がります。もっと華があって格上の俳優をキャスティングできなかったのでしょうか?例えばそれが唐沢寿明では『白い巨塔』と一緒になってしまうのでダメですが、福山雅治とか竹野内豊とかだったら、かなり違った見え方になったと思うのですが。