幹事クリタのコーカイ日誌2009

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8月7日 ● 「大原麗子的」なものは残る。

 女優の大原麗子が亡くなりました。なんと死後約2週間経ってようやく発見されたそうで、この季節に2週間も放置されていたとは、あの大原麗子の最期としては何とも寂しく悲しい思いがします。

 大原麗子と言えば「すこし愛して、なが〜く愛して」のサントリーのCMとNHK大河ドラマ『春日局』です。1970〜80年代を代表する女優のひとりでした。それも本格派の美人女優でありながら、アイドル性の高い女優で、恐らく団塊の世代あたりにはドンピシャとはまっていたのではないでしょうか?ハスキーボイスと舌っ足らずなしゃべり方、清楚で和服の似合う親しみやすい美人。日本の男性が好きな条件を兼ね備えていました。

 世代が近い吉永小百合が30才を超えてどんどん近づきがたいような「大女優オーラ」を発揮していったのに対し、大原麗子はどんなに売れても大女優然とせず、あくまでも小料理屋の女将的な俗っぽさを残していました。渡瀬恒彦と森進一と結婚して離婚したことも、一層人間くさいところを印象づけたように思います。

 彼女の特徴は、なんと言ってもあの「ブリッコ」の完成度の高さです。松田聖子のために生まれたこの言葉ですが、すでに30代になっていた大原麗子こそ「大人のブリッコ」としてより本物だったと思います。「可愛い」と「大人」という矛盾した概念を見事にひとつにまとめ上げた大原麗子は、その後の日本の女優のあり方、引いては女性の生き方に大きな影響を残したと言っても良いでしょう。

 今や30代、40代の人気女優は可愛らしさと大人っぽさを共存させようとしている女優ばかりです。竹内結子を筆頭に、山口智子しかり、松島菜々子しかり、宮沢りえも天海祐希も菅野美穂も篠原涼子も石田ゆり子も永作博美も稲森いずみも常磐貴子も小泉今日子も深津絵里も夏川結衣も小西真奈美も、今話題の矢田亜希子、酒井法子もそうです。みんな30才を過ぎた大人の女だけど「可愛い」「可愛げがある」というところがチャームポイントです。

 かつては吉永小百合に代表された手の届かない高みにいるとされていた「美人女優」も、今や美しさと大人っぽさだけで勝負している女優なんて、鈴木京香、松雪泰子くらいでしょうか?逆に言えば、今やこの2人くらいの圧倒的な美貌と色気があって初めて「大人の女」だけで勝負できるのであって、そうじゃない限りは大原麗子的な親しみやすさや可愛らしさが必要なのでしょう。

 大原麗子は亡くなりましたが、彼女が作り上げた「大原麗子的」な女優のあり方は今後も主流として残っていくのだろうと思います。