幹事クリタのコーカイ日誌2009

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7月15日 ● キリンとサントリーが合併。

 食品業界1位のキリンと2位のサントリーが合併するそうです。ビール業界のライバル心の強さを聞き及んでいるだけに驚きましたが、国際的な競争力をつけるためだという話を聞くと「なるほど」と思うしかありません。なにせこれだけ若者が酒を飲まなくなったのですから、縮小するばかりの日本国内のシェア争いに体力を削り合っていても仕方ありません。

 となると、同じようなことを考える企業が他の業種でも出てくることは間違いありません。日本人の購買力は落ちていくばかりなのですから、酒に限らず車だって服だって家電だって同じこと。かつて僕たちの時代に20代〜30代が競って消費していたものは、どれもこれも国内では右肩下がりです。若者は単に貧乏というだけではなく、昔の若者と違って将来に不安を感じているだけに消費にも慎重です。

 となると、どこの企業も国内でのシェア争いを適当に切り上げて、海外で勝負しようと思います。それも確固たるブランドが存在し成熟した市場である欧米ではなく、今後の成長が見込めブランド戦略がまだ混沌としているアジアや南米が主戦場でしょう。まあ車なんてとっくにそうなっていますが。

 こうなると我々広告業界もますます厳しい時代になっていきます。なにせ日本の広告業界はかなりドメスティックな存在です。日本の広告市場の特殊性ゆえなのですが、国内でのシェア争いが低下すれば広告を昔のように熱心に展開する必要もなくなります。実際、キリンとサントリーが合併したら広告予算も当然削減されていくことでしょう。日本全体の広告費は下がり続けるばかりです。

 かといって、日本企業が打って出る海外での広告展開はもっと大変です。日本国内だけで通用していた広告界の「ローカルルール」は当然海外では通用しません。敵地で敵のルールで戦う完全アウェーです。これはもちろんこれまでドメスティックな市場だけで戦ってきた日本の広告会社には不利に決まっています。

 とは言え、日本の購買力は落ちていく一方で、成長を見込める企業が極めて限られるという今後の趨勢を考えると、生き残るためには広告業界も海外に目を向けざるを得ません。それも中国やインドが舞台ですから、日本のみならずこれまでのアメリカ直輸入の広告理論さえ通じるかどうかもわかりません。

 ビール業界だけではなく、どこの業界も歴史的な転換期を迎えています。生き残るのは大変です。