幹事クリタのコーカイ日誌2009

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7月8日 ● 『官僚たちの夏』第1回。

 城山三郎の小説をドラマ化した『官僚たちの夏』の第1回。『華麗なる一族』のスタッフが作ったというだけあって、かなり凝りに凝った力作ドラマに仕上がっていました。何より力が入っていたのが昭和30年当時の景色をかなり忠実に再現していたこと。映画『三丁目の夕日』ですでに見たことがあるとは言え、あの映画に負けないくらい頑張っているのですから、このご時世にドラマとしては破格の予算をかけているんだろうと思います。

 最近は江戸時代の時代劇よりも昭和時代の「時代劇」の方が時代考証が大変です。なにせ江戸時代に生きていた人は誰もいませんが、昭和30年代なんて「つい最近」だと思っている人がまだまだたくさんいますからね。僕は昭和36年生まれなので、このドラマの当時は生まれていませんが、それでも似たような風景は子ども時代に見てきましたから、やはり違和感があればすぐにピンときてしまいます。それだけに力が入っていたことがよくわかりました。

 俳優陣は男臭くてもう大変です。佐藤浩市、高橋克実、堺雅人、西村雅彦、佐野史郎、北大路欣也、高橋克典、船越栄一郎、杉本哲太などなど、オヤジばかりがぞろぞろ出てきます。ほぼ紅一点が吹石一恵では地味で地味で、オヤジ好きなマニアしか見ないのではないかと思ってしまいます。

 肝心のストーリーですが、これは原作がしっかりしているだけに、ちゃんと安心して見られるものになっています。もっとも、過去の歴史を描くドラマでは全て共通することですが、我々は後の結果を知っていて見ているわけですから、主人公の慧眼も「当たり前」と思って見ていますが、実際には当時世の中が先々どう転ぶかなんてわかっていないわけで、知らなければ主人公の言っていることなんて「無茶だ」と思うことでしょう。安心して見ていられるのは、主人公が最後には正しいとわかっているからだというのもあります。

 内容的には高度成長時代にがむしゃらに働いてきた今の70代以上に一番受けそう。団塊の世代も喜んで見ることでしょうが、年齢が下がるとともに「わかんない」度合いが高まり、30代以下にはあまり興味も共感も持って貰えないかもと思いました。僕には面白かったけど、こんな高年齢ターゲットのドラマでTBSは大丈夫なんでしょうか?NHKが作るならわかりますが。まあ大企業には受けが良いでしょうから、スポンサーは喜ぶと思いますけど。