幹事クリタのコーカイ日誌2009

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6月21日 ● 時代なんて、パッと変わる。

 テニスファンにとっては衝撃的なニュースが飛び込んできました。いよいよ開幕するウィンブルドンに、昨年の覇者にしてランキング1位のラファエル・ナダルが、ひざの故障を理由に欠場するというのです。全仏で4回戦負けを喫した時からウィンブルドンの出場は危ぶまれてはいましたが、今月に入り出場を表明したので胸をなでおろしていたのも束の間、実に残念です。

 ナダルのプレースタイルというのは体にすごく負担がかかると思います。全力でコート全てを走り回ってカバーし、普通では追いつけないようなボールに追いつき、さらにそこから無理だと思われるようなカウンターショットを切り返して打つことができます。それは確かにスゴイのですが、そんな普通じゃできないようなプレーをしていたら、体に過重な負荷がかかるに決まっています。10代から活躍していたナダルだけに、若くして故障が多くなるのも無理はありません。

 日本のホープ錦織圭も同じです。彼もこのウィンブルドンは故障のため欠場しますが、錦織のプレーも体に大きな負荷をかけながらスーパーショットを連発します。もちろんそれだけのことをしないと世界のトッププレーヤーと互角には戦えないのですが、100のショットを120の力で打つようなナダルや錦織のプレーは見る者を魅了する反面、常に故障の不安がつきまといます。今回のウィンブルドンではそれが遂に現実になってしまったということです。

 それに比べて先頃生涯グランドスラムを達成した生きるレジェンド、ロジャー・フェデラーのプレーには無理がありません。まるで力が入っていないかのようなスムーズな動きで放つショットも、気づけばそこにいるという忍者のようなフットワークにも「無理」の文字がありません。100のショットを80、時には50くらいの力で打っているように見えます。だからこそフェデラーはこれだけ多くの試合をこなしながらも滅多に故障することもなく活躍を続けてこられたのです。

 ナダルが欠場することによって、フェデラーはますますウィンブルドンで絶対の優勝候補になりました。しかも優勝すればランキングもナダルを抜き1位に返り咲くことができます。つい1ヶ月ほど前までは、フェデラーの時代は終わった、もしかしたらランキングも4位にまで落ちるかも、と囁かれていたのに、この激しい差はなんなんでしょう?「時代なんてパッと変わる」。大昔の広告コピーですが、いつの時代でも変わらない真実を言い当てています。