幹事クリタのコーカイ日誌2009

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6月13日 ● 「こち亀」ドラマのキャスティング。

 この夏にドラマ化される「こち亀」(「こちら葛飾区亀有公園前派出所」 )のキャストがネット上で話題を呼んでいます。主役の両津勘吉に香取慎吾というのはすでに発表されていますが、それ以外のキャストはまだ極秘、のはずだったのですが、撮影現場の写真が流出し、それによれば中川を速水もこみち、麗子を香里奈だそうです。流出した写真は、そのキャストよりも、衣装のひどさで話題になっていますが、まあそれはおいといて。

 こういう長年親しまれてきてファンの多い有名マンガの実写化は本当にキャスティングも含めた方向性が難しいです。大きくわけて「そっくり」を追求するか、「べつもの」と割り切るか、ですが、かつて「ガラスの仮面」などは「そっくり」を追求した結果、ドラマそのものは学芸会になってしまいました。「そっくり」を狙いながらも成功したのは「のだめカンタービレ」くらいでしょうか。マンガそのままを実写化しながらも、ドラマとして面白く成立させた演出が見事でした。

 ドラマとしてうまくいくのは、ある程度原作からほどよい距離をとったものです。古くは「東京ラブストーリー」「イグアナの娘」「いいひと。」「ショムニ」など。最近では「Dr.コトー診療所」「ごくせん」「ROOKIES」などがうまくいった例です。これらは原作の雰囲気やストーリー、設定などは生かしつつ、無理やりキャラクターを近づきさせ過ぎずに、ドラマとしてのリアリティを優先したことが功を奏しました。

 ただいずれの作品も知名度・理解度では「こち亀」には及びません。ファンの思い入れが少ないなら、ある程度の改変も受け入れられやすいのですが、長年親しまれてきた国民的マンガとなると、そう簡単にはいきません。あえて「こち亀」と比較するなら「ちびまる子ちゃん」くらいしかありません。このドラマは大ヒットこそしなかったものの、何とか及第点を取るくらいには評価されましたが、それは作品世界を演出と俳優の演技力でうまく近づけたからで、決してキャストを単に「そっくり」にしたからではありません。

 「こち亀」も「ちびまる子ちゃん」同様に「そっくり」は目指していないようですが、だったら顔は関係なく、もう少し演技力のある俳優を起用すべきではないかと思います。マンガキャラクターの雰囲気をうまく再現するには、香取、速水、香里奈ではあまりにも力不足でしょう。「のだめ」だって上野樹里をはじめとする若手俳優陣の演技力があってこその成功でした。人気者というだけでは難しいと思いますけどね。