幹事クリタのコーカイ日誌2009

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6月12日 ● 喫茶店で大声で賄賂を要求する人。

 先日、よく行く会社の近所の喫茶店でひとりお茶を飲みながらスポーツ新聞を読んでいました。と、隣のテーブルの3人連れの男性の一人が大きな声で喋っています。「いやぁ、この仕事は金額が安すぎて○○(某最大手広告会社)では受けないと思うんだよね、だからおたくでぜひ受注して欲しいんだよ」「一応競合ということになるけど、僕はおたくにお願いしたいと思っているから、こうしてわざわざ会って情報を提供しているんですよ」だそうです。

 要は、あるイベントの企画をプレゼンして欲しいんだけど、社からの命令で競合プレゼンをしてもらわなければならない、でもできたらその広告会社に受注して欲しいから自分が特別に便宜を図っているんだ、ということをくどくどと説明しているのです。なかなか恩着せがましい人だなと思いました。そもそも固有名詞を大きな声で喫茶店で喋りまくるのはいかがなものかと。その会社名から個人名、もちろん企画の内容まで筒抜けです。

 なんだかんだと15分くらいその男性は広告会社の2人に説明し終えたところで、おもむろにこう言い出しました。「ところでイヤらしい話なんだけどね、いや、僕がってわけじゃなくて、部長が言ってるんですよ。僕はこんなこと言いたくないんだけど。実は部で飲み会をやりたいので、少しビール券とか何とかならないかな?いや、もちろんちょっとあるだけで良いんだよ、イヤらしい話だからさ、でも部長がどうしてもって言うから」。なんと、彼は競合プレゼンのオリエンをした直後に、ビール券を融通しろと広告会社に要求しています。

 広告会社の人は「もちろんご用意しますよ、何人分くらいですか?」などとにこやかに応対しています。「いやぁ、そんなのあるだけで良いですよ、無理して人数分揃えると大変だから」。重ねて「何人分か」と広告会社が尋ねると「あー、部の人間は15、いや17人くらいいるかなぁ。でも本当にそんな全部じゃなくても良いんだよ、ただ部長がそう言ってるから僕も言ってるだけで」だそうです。広告会社の人は「全員分調達して今度お持ちしますよ」と調子の良いことを言っています。さすが営業。

 ビール券を要求した人が、本当に部長に言われて部のために言いにくいことを言ったのだ、とも取れますが、正直一部始終を聞いていた僕には、単純に賄賂を要求していただけにしか聞こえませんでした。そのビール券はすぐに金券ショップで換金しちゃうんだろうなぁ、って感じでしたから。

 それにしても今どきこんな古典的でベタな人がいるとは思いもよりませんでした。さらに、それを狭い喫茶店で大きな声で喋る無神経さにも驚きです。聞いていたのは僕だけではなく店内のお客さんの大半でした。どこに関係者がいるかもわからないのに、大した図々しさだとは思いましたけどね。