幹事クリタのコーカイ日誌2009

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4月21日 ● 「コンカツ男子支援」が公約の市長。

 19日に無投票で当選した愛知県東海市の鈴木市長の公約は「コンカツ男子支援」だそうです。東海市の30代未婚男性の比率が4割なので、これを3割に下げるという数値目標を設定したとか。無投票だとこういう冗談みたいなマニフェストでも当選できちゃうんだから困ったものです。

 まあ確かに未婚の男女が増えていることは少子化対策を考える上でひとつのポイントではあるでしょう。しかし、結婚するとかしないとか、子どもを作るとか作らないということは、各個人のライフスタイルとか生き方とかの問題であり、むしろ思想信条の自由に近いことだと思います。行政がいちいち口を出すようなことではありません。

 こういう公約を掲げた市長が当選したのですから、今後は市として「コンカツ」に税金を投入することができるわけです。まずは家賃補助だとか。コンカツなんて関係ないよ、という既婚者や年配者にとって、その投入される税金は意味ある支出ですか?子どもを預けて働きたいママさんにとっては、そんなことにお金を遣うなら保育所のひとつも作ってくれと思うでしょうし、年金暮らしのお年寄りは市民病院の医者やベッドを増やしてくれと考えるでしょう。

 そして「結婚とかぁしたくないしぃ〜子どもとか面倒くさいしぃ〜」と考えている20代の男女にとって、そんな口出しは余計なお世話の上に、30代になるとまるで結婚しないことが「罪」なような雰囲気になってしまって居心地がかなり悪くなります。市民に気まずい思いをさせる施策のどこに意味があるのでしょう?

 こんな市長の公約で誰が儲かるのかと言えば、せいぜい市のコンカツ支援費用で家賃補助される大家さんくらいで、その分高い家賃が取れるからラッキーってなものです。空室率が下がることが大家さんの一番の願いですから。もしかしたら鈴木市長も自分でアパート経営をして儲けるつもりかも、なんて疑いたくなります。

 結婚しない男が増えたのは、賃金が安いからだ、なんて発想は短絡的にもほどがあります。だったらなぜこの数年間の名古屋の好景気にも関わらず、この地域の未婚率が増え続けたのか説明がつきません。お金がなくて結婚しないなんて言うのは、結婚しないための言い訳に過ぎません。本当に結婚をしたかったら、お金なんてなくても男と女は結婚します。子どもを生まない理由も同じです。お金が本当の理由ではありません。貧乏なのに子どもを作る若いカップルも多いし、医者や弁護士のような高学歴・高収入の夫婦が子どもを作らない例も山のようにあります。

 20代、30代に蔓延する「気分」をきちんと理解しないままに未婚率を下げようとか出生率を上げようなんてことを言っているから、いつまでたっても効果的な施策を打ち出せないのです。千葉県に住んでなくて良かったと思っていましたが、東海市にも住んでなくて良かったと思います。