幹事クリタのコーカイ日誌2009

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4月13日 ● 伊達公子には頭が下がる。

 クルム伊達公子がITFの75000ドルの大会で優勝しました(75000ドルとは大会の賞金総額で、ITFの大会としては2番目に大きな大会です)。ツアーの下部大会での優勝ですし、下部大会なら去年復帰してから何回も優勝しているから今さらと思われるかも知れませんが、場所がこれまでの日本ではなくスペイン。いまもっともテニスのレベルが高い地域はヨーロッパ。下部の大会とは言え、100位台のヨーロッパの将来有望な若手選手がポイントを求めて大挙参加している中での優勝ですから、これまでとは価値が違います。

 しかも伊達は準々決勝で古傷の足を痛めていました。無理して強行出場したら、年齢が年齢だけにそのまま再引退となるかも知れないような怪我です。毎日更新される伊達のブログをずっと読んでいましたが、ダブルスは棄権し、シングルスも準決勝をほぼ棄権することに決めていたようなんですが、幸い雨で試合が中止になり、その間に回復をして、準決勝も決勝も迷いながら出場し、結果的に優勝してしまいました。

 ブログを読んでいると、本当に出ない方が良いんじゃないかと思えるような状態でした。ここで無理して故障が長引けば全仏もウィンブルドンもチャレンジできなくなるし、下手するとそのまま引退です。相手も日本やアジアの選手と違って、圧倒的なパワーがあるヨーロッパの10代の選手。来年、再来年にはトップ50にも入ってくるような選手たちを相手に、38才で怪我をしている伊達が勝負を挑むこと自体が無謀としか思えませんでした。

 本人もほぼ諦めかけていたような状態だったのに、それでも試合があれば会場に向かってしまい、会場に入ればコートに立ってしまい、コートに立てば勝利のためにプレイしてしまう。その勝負師としての伊達のメンタルの強さは常人をはるかに超えています。超人の域に達している伊達には本当に頭が下がります。

 マンガのように全てがうまく転がり、伊達は優勝してポイントを大きく稼ぎ、ランキングを120位台まで上げる見込みです。グランドスラムの本戦にストレートで入るには100位くらいにいかないといけないので、もう一息のところまできています。伊達の実績ならもしかしたらワイルドカードが貰えるかも知れませんが、それはあてにはなりません。全豪では予選を勝ち抜きましたが、さすがに予選を3試合戦っての本戦では疲れも違うことでしょう。何としてもウィンブルドンの芝の上に立つ伊達を見てみたいものです。