幹事クリタのコーカイ日誌2009

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4月10日 ● 教頭の指示でわざとオウンゴール量産。

 新潟の中学校のフットサル大会で、教頭がわざと試合に負けるために「オウンゴールを入れろ」と指示して、生徒がそれに従って実際に0-7で負けたということがあったそうです(こちら)。これは予選を勝ち上がっても次の準決勝で苦手チームと当たるのを避けるための作戦だったそうですが、中学生に「片八百長」させるとは随分とひどい話です。著しくフェアプレー精神に反すると日本サッカー協会がこの教頭に懲罰を科したのは当然。わざと負けさせられた自校の生徒の気持ちだけではなく、真面目に試合をしようとした対戦相手のことも毛ほども考えていません。教育者としてこんな指導をすることなど言語道断であり、サッカー協会だけではなく教育委員会も何らかの処罰を考えるべきでしょう。

 次の対戦相手のことを考えて試合をわざと負けるというのは、先日のWBCでも韓国が言っていました。日本に負けて準決勝でアメリカよりもベネズエラと対戦する方を選んだのだ、と。もちろんあれは韓国の負け惜しみだとは思いますが、あの試合で日韓両チームとも主力投手を温存したことも確かです。試合に出ていた選手はともに全力で戦ったことでしょうが、ベンチは果たして本当に全力で戦ったと言えるかどうか。教頭もあの日韓戦を見て「わざと負ける」こともありじゃん、と思ってしまったかも。

 我々がテニスの試合に出る時も、時々「次はわざと負けようか」と話をすることはあります。予選のリーグ戦で2位になると次の決勝トーナメントで他のリーグの1位と当たってしまうというドローの時があります。そこでコロッと1回戦負けするくらいなら、3位になって下位トーナメントに回り勝ち上がる方が1日楽しめて良いなぁ、なんて考えて、そういう話になります。

 しかし、実際にやってみるとわかりますが、わざと負けるなんて、なかなかできることではありません。試合を始めれば勝ちたいですし、まして勝てそうな相手に負けるなんて悔しくて、やっていても全然楽しくありません。いつも勝ってしまった後で「あれじゃあ負けられないよ」なんて偉そうに言っていますが、やはり勝てば気持ちが良いものです。もちろん本当に負ける時もありますが、それもわざとではなく本気で負けてしまったわけで、そういう時は「わざと負けるなんて試合前に考えたから負けたんだ」と反省するばかりです。

 しかも、大抵そうやって負けて「まあそのつもりだったから」と自分を慰めつつ下位トーナメントに回っても、意外と好成績は残せません。なかなか計算通りに対戦相手は勝ち上がってきませんし、自分たちもやはりどこかでプレーのリズムを崩してしまっているんでしょう。勝てる試合はちゃんと勝っておかないと、後に響くものです。

 実際、この新潟の中学校は予想と違った別の相手と当たって負けてしまったそうですし、WBCの韓国も結局優勝を逃しました。全力を出しきって戦わなかったツケは、必ず後で払わされるものです。いくら教頭の指示とは言え、それに反対もせずに自分のゴールにシュートを蹴り続けた中学生たちも、しっかりツケを払わされて学んだことでしょう。